オール電化厨房システム特集:経営改革の切り札 5Cメリットに進化
外食産業に「厨房革命」が起きている。厨房機器の熱源はすべて電気。「クール」(暑さ知らず)、「クリーン」(清潔)、「コントロール」(調理の数値化)の“3Cメリット”を誇るオール電化厨房システムの普及が急ピッチだ。ユーザーが機器に慣れ親しみ始めた昨今は、「コンパクト」(省スペース)、「コストメリット」(固定経費削減)を加えた“5Cメリット”にまで価値を高めている。また、オール電化厨房システムのメリットは、それだけではない。省エネルギーで二酸化炭素を排出しないことから、「地球温暖化防止対策」への取り組みとして採用する店が増えている。それらのニーズに併せて最新技術を駆使した厨房機器も続々と登場。いまや、電気はガスを凌駕する調理熱源のスタンダードとなりつつある。
オール電化厨房システムが注目されている理由の第一は、ランニングコストが安く、低価格でおいしい料理が提供できる、厨房をはじめ店内を清潔で快適な環境に保てる、など経営上のメリットだ。
リーズナブルでおいしい料理を快適な店内環境で提供することは、客のリピート率や店内滞在時間(客単価)を間違いなくアップさせる。厨房環境の改善は料理人の働く意欲を向上させるだけでなく、オペレーションの効率化で、より大きなコスト削減効果を生む。
削減できた時間や経費は、さらにサービスやメニュー価格に還元。他店に先駆け「お客さまに満足していただける店」としての地位を確立できる。
厳しい経済状況が続くなか、食に新しい価値創造を模索する飲食店にとって、オール電化厨房システムは、まさに「繁盛の切り札」といえる。
第二の理由は、外食産業も「省エネルギー・環境対応」への取り組みを社会的に求められる時代になったこと。
昨年、「京都議定書」が批准され、今後、国を挙げての環境対策が本格化する。早くも、環境省地球環境局は昨年2月に発行した「民生(業務)分野における温暖化対策技術導入マニュアル」において、CVSを含む飲食業界が日本のエネルギー使用量のなかで占める割合が大きいと指摘している。
すでに大手外食チェーンの間でも、ガスに比べて熱効率が高く、二酸化炭素の排出量が少ないオール電化厨房システムを採用する機運が高まっている。また、ガスでは熱効率の悪い厨房機器を電気仕様に転換したり、客席にIHテーブルを採用する「部分電化」の動きも活発化している。
大手外食チェーンに限らず、個人店の間でも、環境対応を意識した電化対応が活発化してきている。病院給食や事業給食でもオール電化厨房システムの採用が増える一方だ。
また、電力会社各社はオール電化厨房システム普及促進を目的に、業務用ユーザーの割引料金を打ち出し、厨房機器メーカーと共同で最新技術を搭載した厨房機器を矢継ぎ早に開発し、次々と商品化している。その機能性・機能美も大幅にアップ。当初の「電気でも可能」のキャッチコピーは、もはや過去の遺物。いまや「電気でなければ不可能」と叫ばれるまでに進化している。
オール電化厨房システムのニーズは、今後ますます高まるばかり。待ったなしの経営改革に迫られている外食産業の救世主だ。まさにいま「厨房革命」が起ころうとしている。