必見必試の商品開発:平和食品工業・森村憲二代表取締役に聞く

2005.06.06 301号 22面

業務用ラーメンスープのパイオニアとしてラーメン市場をリードする平和食品工業(株)。これまで「サッポロみそラーメンスープ」「ざる中華」「贅沢シリーズ」など数々の先駆的商品を打ち出すとともに、ラーメンの新たな可能性とカテゴリーを創出してきた。その平和食品工業(株)が、このほど待望の新製品を一気にラインアップ。中でも「無添加ラーメンスープ」「小袋ラーメンスープ」「伽哩ラーメン」の3製品が熱い視線を浴びている。新製品開発の経緯と狙いについて聞いた。

‐‐商品開発の基本姿勢についてお聞かせ下さい。

森村 当社のモットーは、安全・安心に尽きます。健康志向の製品作りに徹しています。ユーザーのニーズを素早く採り入れ、マーケットニーズに即した商品を迅速に開発、製造、発売。競合メーカーがひしめき、各社しのぎを削る中で切磋琢磨を重ね、常に良質な商品作りに努力を惜しみません。そうしてこそ、当社製品の一層の認知度アップ、拡販に直結すると考えています。

‐‐今回の新製品の開発経緯、背景にある業界動向は?

森村 今、ユーザーはヘルシーな食品を以前にも増して求めています。一般業務用市場のみならず、学校給食から介護・医療現場での給食に至るまで、化学調味料・着色料無添加食品への要望は高まる一方です。

そこで、従来から高い評価をいただいているロングセラー3商品をピックアップ。それぞれを化学調味料・着色料無添加の「無添加ラーメンスープ」にリニューアル開発しました。また、以前から、既存商品の小袋タイプを要望する声が数多く寄せられていました。一昨年に操業を開始した坂戸工場で、小袋タイプの大量生産が可能となりましたので、今回思い切って基幹6製品の「小袋ラーメンスープ」を打ち出しました。

そして、かねて業界で課題とされてきたカレーラーメンへの取り組み。市場創出に向けて、満を持してカレーラーメンスープ「伽哩ラーメン」を新発売しました。

‐‐新製品について詳しくお聞かせ下さい。まず「無添加ラーメンスープ」について。

森村 介護・医療食ユーザーとの話し合いの中で、商品開発の構想がスタートしました。マーケティングを進めると、われわれが思っている以上に無添加ニーズが大きいことが判明。居酒屋チェーンなど多方面から関心をいただきました。

このような経緯を踏まえ、商品開発が具体化。無添加で味を維持する商品開発は難題でしたが、当社の長年のノウハウによって克服。無添加でありながら味わいをしっかりと残し、納得できる商品を作り上げました。

今後、極力添加物を排除しつつ、本来の味わいを出し得る食品へ、ユーザーニーズがシフトしていくことは確実です。今回発売した「無添加ラーメンスープ」は、その流れに素早く対応した差別化商品。無添加食品需要を鋭く掘り起こし、市場牽引役を担い得る商品であると、絶大な自信を持っています。

介護・医療分野はもちろん、学校給食など、多方面に販促する方針です。

‐‐「小袋ラーメンスープ」については。

森村 小袋タイプはコスト高というイメージがありましたが、昨今は、「必要量が無駄なく使え、係数管理しやすい」という認識が高まっています。「多少割高でも調理オペレーションが明確に標準化できるためメリットは大きい」というわけです。また、小袋タイプは大手チェーンのPB製品でも実績があり、好評をいただいております。

そこで、今回は新たな製造ラインを設け、既製品と同価格に近づける、できる限りの努力を講じました。手軽に扱えるので、新たな市場開拓も期待しています。

例えば量販店販売。市販ラーメンは、どうしても即席麺がラーメンの主流です。価格的にも、即席麺相手では勝負にはなりませんでした。小袋タイプは高コスト商品であり、当社は状況推移観察を継続しました。ようやく、昨今の健康志向の高まりが追い風ともなり、即席麺からゆで麺、同時に、ラーメンスープにもスポットが当たり始めました。

長年にわたり、業務用に本格的な味を提供して来た実績が、当社にはあります。そこで、専門店の味を手軽に業務用市場以外でも提供できる環境が整いつつあるわけです。

‐‐「伽哩ラーメン」について。

森村 カレーラーメンの難しさは重々承知しています。カレー味の即席麺、カレーうどんは定着しているにもかかわらず、カレーラーメンは定着しない。これまでも多くのメーカーがチャレンジを繰り返し、その都度市場から消え去った経緯は周知の事実です。しかし、必ずやニーズは存在します。当社はカレー製造が原点です。香り豊かなカレーラーメンを市場の一翼に仕立てるため、あえてカレーラーメンに挑みました。

キーポイントは、「カレーライス、カレーうどんのカレールーとは、根本的に異なった味が必要」という点です。そのため、ラーメンならではのがらスープを基調に和風の味わいに仕上げました。日本人が日常的に好むカレーライスとラーメンのおいしさを融合しつつも、あくまでラーメンを主体とした、これまでにはない新しい味を作り出しました。

ラーメン市場の約9割を醤油味、味噌味、豚骨味で占め、残り約1割のシェアに塩味とその他の味があるといわれます。このすき間にカレーラーメンを定着させたい。長期戦を前提に、潜在需要喚起を図ります。

スープにとろみがあり具材をトッピングしやすいのも、カレーラーメンの大きな強み。「伽哩ラーメン」では、ポテトフライなどユニークなトッピングを同時に提案していきます。

‐‐今後の製品開発・販促方針については。

森村 何よりもヘルシーさを基調に展開します。いたずらにトレンドを追い、目新しい商品ばかりを矢継ぎ早に開発するよりは、じっくりとユーザーのニーズを分析、ニーズを反映させた商品開発に徹すること。これが、成功の秘訣と考えます。

商品ラインアップでは、カレーはもちろん、中華系ソース、各種レトルト商品の一層の充実を図っていきます。「特撰やきにくのたれ」も好評です。パスタソースなど、これまで手がけたことのない分野も視野に入れ、ヘルシーさとおいしさを両立した商品開発を推進します。

何よりも、安心して召し上がっていただけるおいしい食品を提供することが、当社の責務であり、「体にやさしく、おいしい」と評されるメーカーとして、今後も信頼される製品製造、販促に徹していく所存です。

‐‐ありがとうございました。今後のご活躍に期待します。

●本社所在地

東京都世田谷区等々力4‐6‐1

電話03・5752・5211

◆「小袋ラーメンスープ」(サッポロみそラーメンスープ、醤油ラーメンスープ、塩ラーメンスープ、和風醤油ラーメンスープ、吟撰濃厚とんこつラーメンスープ、とんこつ醤油ラーメンスープ)規格=1人前×50食×5袋

同社の人気製品を使いやすい1人前の小袋タイプでラインアップ。食数は少なくても本格的ラーメンを提供したいという店舗に最適。また、ピーク時と閑散時の時間帯別に分けて、既存品と同製品と併用すれば便利。

◆「無添加ラーメンスープ」(醤油ラーメン、みそラーメン、塩ラーメン)規格=各3・3キログラム×4袋

健康志向をテーマに、ロングセラー商品の「醤油ラーメン」「みそラーメン」「塩ラーメン」を、化学調味料・着色料無添加にリニューアル。「身体に優しい」「安心安全」をコンセプトに、既製品をベースに自然素材でコクとうまみを出している。

◆「伽哩ラーメン」規格=1キログラム×10袋

独自製法で焙煎した香り豊かな数十種類のスパイスをブレンド。じっくり炊き出した深いコクのある濃縮スープ。双方が見事に調和し、食べるごとに余韻が残る。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら