電化厨房最前線(36)デリシステム・プランニング

2005.10.03 306号 16面

中食業でも電化厨房が急ピッチで普及している。そのけん引役となっているのが(株)デリシステム・プランニングだ。オール電化を活用し、中食事業の経営改善指導、プランニングを行っている。競争が激化する中食市場において、勝ち抜くためにはオール電化による厨房改革が必要不可欠だとする同社。独自に油の鮮度計測器付きフライヤーを開発するなど、その取り組みは意欲的だ。

東京・台東区にある同社「教育センター」のトレーニングルームには、すし厨房、惣菜厨房、ツーオーダーシステム厨房の3パターンのオール電化厨房と模擬売り場がある。

新人スタッフから店長マネジャー、商社や食品メーカーの社員まで、中食ビジネスに携わる人が実践的に学べるシステムが構築されている。最新の厨房機器が並ぶなか、一押しなのが油鮮度計測器付きフライヤーだ。

「当社スタッフが長年電化に携わってきた経験を生かして厨房メーカーと共同開発しました」と担当の高柳政幸さん。

同機は、調理中の揚げ油の鮮度をリアルタイムに計測し、デジタルパネルに表示する。

本体だけでなく、売り場用の表示パネルもあり、客に安全・安心をアピールできるのが売りだ。

「ガスと違い電気式フライヤーは油の温度を正確にコントロールできる。油の温度が必要以上に上がらないので油が長持ちします。さらに油鮮度計測器があれば、油の品質管理が徹底的にできるのです」

揚げ物は油の鮮度が命。同機を使えばいつでも新鮮でおいしい揚げ物料理が提供できる。

ユニークなのは油の鮮度を極性化合物(油脂の劣化生成物の総称)の量を示す「油鮮度(PC値)」で判断していること。従来日本やアメリカでは、油の劣化は酸化(AV)値で評価されてきた。PC値はそれ以上正確に油の状態を表すとされ、ヨーロッパで広く採用されている。

ほかにも独自のアイデアが、油の劣化防止、安全対策、ドライキッチン対応などに具体化されている。

例えば、(1)油槽内部の「加熱筒」を無くし体積を拡大、油のコールドゾーンを増やし劣化速度を抑制。(2)油槽から揚げダネを取る際の油の飛散を防ぐため油槽上部に「油きり篭」を設置している、などである。

この春の発売以来、すでに路面店を中心に採用する店が増えている。

「油を使う作業は調理作業のなかで最も危険です。労働環境を改善するためにも、ぜひ安全性の高い当社のフライヤーをお薦めします」と高柳さん。

◆店舗メモ

(株)デリシステム・プランニング(教育センター=東京都台東区台東3‐41‐4、加藤ビル5~6階、電話03・5688・7030)

◆現場からの声 教育センター・高柳政幸さん

惣菜弁当で利益を捻出するには厨房改革が必要不可欠です。今までの調理場は労働環境が悪く、良い人材が集まりにくかった。その点、電化は作業動線の効率化、調理技術の標準化、ドライで衛生的な労働環境の実現に効果的です。そこで良い人材をスペシャリストとして育てあげ、長く働いてもらうことが経営改革の早道なのです。

当社ではお店の新人スタッフから食品メーカーの方まで中食ビジネスに携わる人材の育成を支援しております。ぜひ当社セミナーにご参加ください。

◆ニチワ電機(株)「PCセンサー付きフライヤー 型式DPCF-27」

「油鮮度計付きフライヤー」は(株)デリシステム・プランニングがニチワ電機(株)と共同開発したもの。高品質な揚げ物調理と安全で清潔なキッチンを実現する。特徴は次の通り。

(1)油槽内部の「加熱筒」を無くし油槽の体積を拡大することで、調理油の劣化速度を遅くしている。

(2)「加熱筒」を無くしたことで、油槽内の掃除が容易。調理油の劣化を招くカーボンの付着を防止できる。

(3)ヒーターの改良で、調理油の熱による酸化を抑制。

(4)フライヤーガードがオイルミストや熱気の拡散を防ぎ、ダクトの吸収効率をアップ。

(5)油槽上部に「油きり篭」と「カス受け」を設置。油槽から「揚げタネ」や「揚げカス」を取る際の油の飛散を防ぐ。

(6)フライヤー前面に「油返し」を設置。調理油が油槽からあふれない。

外寸=W500mm×D700mm×H1300mm

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