メニュートレンド:いくら丼一本勝負! 「ペリーのいくら丼」
大阪・ミナミに、カップルが列をなす丼店がある。「ペリーのいくら丼」は、雑居ビルの奥まった立地でありながら、「探してでも食べたい」という人でにぎわう人気店だ。そのイクラ丼は、うまさと安さ、ボリュームの三拍子が揃ったもの。プリプリのイクラに魅せられた店主による、サービス満点の一品だ。
平日は、近隣のサラリーマンやOL、週末は、ミナミに遊びにきた若者たちが行列を作る同店。雑居ビルの奥という分かりにくい場所ながら、カウンター9席の店はフル回転である。
メニューはズバリ、イクラ丼一本。普通盛り680円、大盛り880円だが、お薦めは大盛り。ご飯だけ普通盛りにして、大盛りを頼む女性も多い。小ぶりながら高さのある丼には、ツヤツヤのイクラがたっぷり。普通で100g、大盛りで130gのイクラを使用している。
実際、この価格では利益率は低いが、「自分がランチで丼を食べる感覚なら600円台が相場。当初からこの価格で頑張っています。客が喜んでくれる価格で出すことで、こちらのハートも心地良い」と店主の蓑原弘之さん。「イクラは北海道産を直接買い付けているが、トン単位の年間契約で仕入れることで、安く手に入れている」という。
イクラは、酒・みりん・醤油・昆布を使用した自家製の醤油漬け。1日100食分だけ用意し、イクラがなくなった時点で閉店となる。また、コメも産地農家から減農薬の天日干しコシヒカリを直接仕入れており、ご飯のうまさも格別。こだわりの素材を、こだわりの価格で提供する心意気が、幅広い客層に支持されているポイントだろう。
さらに、200円の「かに汁」も人気。1杯にワタリガニの半身を使用し、カニの風味をきっちり生かした味噌汁である。丼とセットで頼む人が多いというのも納得だ。
「大阪ではイクラ丼の文化は浅い。ペリーという店名は、思い付きで付けたものですが、黒船のように、北海道からイクラ文化を運ぶ店として知ってもらえたら」と蓑原さん。
さらに、イクラの大量仕入れを通じて卸事業にも着手。「イクラの卸先は、高品質を安く提供したいというサービス本位の店に限定。現在2店と取引している」という。
利益だけに執着しない店主ならではの発想といえるだろう。
◆店舗概要
「ペリーのいくら丼」/店舗所在地=大阪市中央区東心斎橋2─2─7、電話06・6211・1123/開業=2000年10月/営業時間=午後0時30分~10時(売り切れ次第閉店)、不定休/坪数・席数=約8坪・9席/客単価=800円/1日来店者数=平日約100人、休日約100人/平均月商=約150万円/スタッフ数=2人