飲食トレンド 飲み放題・食べ放題、割安感訴求で客数の拡大図る

1993.08.02 33号 1面

消費の低迷を打解し、店への吸引力を高めようということで、“食べ放題、飲み放題”のサービス形態を導入する店が増えてきている。

この形態は“食べ・飲み”がワンセットになっている場合と、“食べ放題”のみ、“飲み放題”のみのどちらかというケースで、業態やメニュー内容によってこのサービス形態は異なっている。

また、この形態は専門店としての生き方、集客力を高めるため一部メニューにおける販促手段としての導入形態があり、一口に食べ放題、飲み放題となってもいくつかのパターンがある。

しかし、いずれにしても食べ、飲み放題は、格安感をアピールすることにより客数を多くとるということにあり、いわば薄利多売の“安売り商法”ということにある。

物販でも“ディスカウントセール”や“激安セール”が活発化してきているが、外食の世界でも刺激的な売り方によって、消費者の来店動機を喚起していこうという狙いになるわけだ。

食べ、飲み放題には集客力を高めることに加えて、もう一つのメリットがある。それはこのサービス形態のほとんどが、バイキング型式などのセルフサービスの形態であるので、人手不足の解消や人件コストの削減に寄与するということだ。

食べ、飲み放題のサービス形態は、しゃぶしゃぶや焼肉、ジンギスカン料理、すし、カニ・海鮮料理、デザートなど、野趣味があるほか、単品メニュー的なもので、ある程度の作りおきが可能なものという内容のものが多い。

金額的にみれば、一人一〇〇〇円台から二、三〇〇〇円前後で、店によっては九〇分とか二時間内というように、時間制を設けているところもある。

時間制の設定は、ある程度の客回転をあげるということで、いくら食べ、飲み放題といっても、ケジメなく客に居座わられていては、収益の向上にはつながらなくなる。

店のキャパシティが大きいと、団体、グループ客の利用が多くなるので、繁忙時の時間制は不可欠なシステムといえる。

食べ、飲み放題のシステムは、格安料金で客数を多くとるということにあるので、客回転がある程度あがらなくては、営業としては失敗することになる。

しかし、システムがノーマルに機能していれば、このサービス形態はあらかじめ利用単価が設定できているので、売上げ予算を容易に立てることができる。

問題は材料のムダを出さないよう、どう客数を見込むか、また、ストックの効く食材をどう活用していくか、ということであろう。

食べ放題、飲み放題の店、三店舗を取材したので、その運営システムおよび利用状況をレポートする。

(2面につづく)

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