電化厨房最前線(52)ホテルメトロポリタン
東京・池袋のホテルメトロポリタンは昨年春、メーン厨房を大幅リニューアルした。電化厨房を採用することで、厨房衛生の徹底管理と作業の効率化に成功。優れた品質管理のもとに提供される高級感あふれる料理は、ユーザーから高い評価を得ている。
「今回、厨房を大幅に改装した目的は、(1)衛生管理の徹底(2)安全で快適な厨房環境の実現(3)調理作業に適した厨房へのレイアウト変更、などにありました」と、ホテルメトロポリタン取締役料飲部長 総料理長の金田永幸さん。
新たな厨房では、食材の搬入口(汚染エリア)から下処理室(非衛生エリア)、調理室(衛生エリア)、調理最終工程室(高度衛生エリア)まで、施設内を衛生環境ごとにゾーニング化。食材の搬入、調理、提供までの流れを一方通行にし、工程ごとに厳格な衛生管理を行っている。まさにHACCPに準拠した理想の厨房だ。その実現には電化厨房が必要不可欠だったという。
「電化厨房は余熱がないので、厨房施設全体の温度管理がしやすい。厨房機器が汚れにくいうえにほとんどふき掃除だけで済む。厨房内をいつもドライに保て、非常に清潔です。また、全冷蔵庫の庫内温度を1台のコンピューターモニターで監視できるのも大きなメリットです」
電化にして料理人も働きやすくなったという。
「電化厨房機器はコンセントさえあればどこにでも配置できる。調理人の使い勝手を優先して厨房レイアウトが決められました。それに裸火がないので安全性も高い。快適で安全な職場環境が実現しました」
最近の電化調理機器の性能の向上はめざましい。
「料理の品質を落とさず、短時間でしかも大量に調理できる電気圧力鍋など、作業の効率化と品質の安定が同時に可能な機器が多いのも電化の魅力です」
同ホテルではメーン厨房のほか、イタリアンレストランや社員食堂にも電化厨房を採用している。
○現場からの声:労働時間の短縮にも一役 取締役料飲部長・総料理長金田永幸さん
電化厨房は、調理の計画性の向上と労働時間の管理にも威力を発揮します。
当ホテルのメーン厨房は年間700件以上もの結婚式などの宴会を担当しています。本来なら慢性的に超多忙となるはずですが、現在、スタッフは比較的余裕をもって仕事をしています。その理由は、電化厨房とクックチルや、真空調理などの新調理システムとの併用にあります。
調理温度のコントロール性に優れた電化厨房だからこそ、新調理システムのメリットをフルに生かせる。大量の料理も計画的に効率よく調理可能です。あわせてスタッフの労働時間の無駄を省き、一日の仕事量も平均化できるのです。
◆店舗メモ
「ホテルメトロポリタン」/所在地=東京都豊島区西池袋1-6-1 電話03・3980・1111(代表)/レストラン=インターナショナルフードスクエア&カフェ「クロスダイン」、ダイニング&バー「オーヴェスト」、キュイジーヌ「エスト」ほか/調理器具=IHフライヤー、IHヒーター、スチームコンベクション、ブラストチラー、E-JETほか
○ニチワ電機(株)「E-JET TT&P-80」
ソフトな食味の仕上がり感を求められ、長時間調理が必要な煮込み料理。その手間のかかる調理を60分サイクルで行う画期的な電気圧力釜。温度、時間管理、圧力をすべて自動で管理し、運転する。従来、煮込み料理時に鍋につきっきりにならざるを得なかった料理人の手間と人件費を大幅削減。従来の調理に比べ、最大64%の省エネ効果があり、空調への負担や、排出するCO2の量も軽減する。計量管理により食材ロスを減らすこともできる。
ビーフシチューなら一度に20kgの調理が可能。中華の煮豚料理などにも活用可能。
ニチワ電機と九州電力の共同開発品。
問い合わせ先=ニチワ電機(株)(電話03・5645・8751)