飲食トレンド 「二毛作経営」 人手の確保が大きなポイント

1993.09.06 35号 1面

前号に続いて、“二毛作経営”を紹介する。この営業パターンは、やはり店の立地条件、客層を背景にして、人手の問題が大きなキーポイントになる。店舗立地がビジネス街に接していれば、喫茶店の例のようにビジネスマンを対象にして、朝モーニングサービス、昼ランチサービス兼喫茶、夜はカラオケバーというシフトも可能になる。実際そういう形態の店も最近は多くみかけるようになった。問題はこういった時間帯の飲食ニーズに対して、労働力を集約して人的サービスを提供できるかということだ。売上げは十分に期待できるのだが、人手が確保しにくいという状況では二毛作経営はなり立たない。店の営業効率を高め、収益力を発揮していくには、やはり、地域に時帯ごとの飲食ニーズがあり、それに対応できる人的サービスが可能ということが、二毛作経営の前提になるというのは強調するまでもない。

JR京葉線海浜幕張駅前にこの7月2日にオープンしたショッピングセンター「プレナ幕張」五階での出店。店舗面積約三〇〇坪、客席数三〇〇席の大型店で、天井の高さや空間の拡がりにゆとりがある。

昼はランチサービス、夜はビアレストランという営業形態で、昼が午前11時30分から午後1時30分、夜は午後5時~同11時というシフト。ランチサービスはカフェテリアスタイルをとっているが、料理は客からのオーダーを受けて作るというホットクッキングの形。

メニューは自慢の焼きたてビーフステーキ(一五〇㌘)ライス付八八〇円ほか、ねぎとろ丼五八〇円、焼肉丼六〇〇円、カツ玉丼六八〇円(各みそ汁・お新香付)、ビーフカレーライス五八〇円の五種。

夜は生ビールなどアルコールが主体になるが、これは二時間、一二〇〇円の飲み放題のシステムで、連日の賑わいをみせている。このシステムは二杯目からはセルフサービスという運営形態で、客は好きなだけビールが飲める。

フードメニューはポテト料理(五五〇~六五〇円)やサラダ(五五〇~一五〇〇円)、ソーセージ(四五〇~二〇〇〇円)、ピザ(八〇〇円、一五〇〇円)、特選メニュー(三五〇~一九〇〇円)など。このほかにはジャンボオムレツや、ステーキ、リブなどのグループ対応のメニュー(一二〇〇~一九〇〇円)や麺類やご飯物もラインアップしている。

アルコールメニューはビールのほか、日本酒、ウイスキー、サワー、カクテル類もあり、一応のものを揃えている。

オープンして間もないこともあって、売上げは予想以上の実績をあげており、平日で七、八〇万円、土日で三、四〇万円とみていたが、平日一四〇万円、とくに金曜日は一八〇~一九〇万円、土曜日が一二〇万円、多いときで一四五万円、日曜が八〇~一〇〇万円といううれしい誤算。

「開店景気という要素もあるかと思うんですが、ランチも質的にいいものを安く提供していますし、夜のつまみメニューも実利本位で、効率の悪い手のこんだ料理をやめてストレートにアピールするものをということで、すでに二、三回ほどメニューを変更しているんです。それと、とくに一二〇〇円の飲み放題は大きな集客効果を発揮していると思うのです」(島崎勉店長)。

客単価は昼八〇〇円、夜二七〇〇円。売上げ構成比は昼三割、夜七割で、二毛作経営としてのバランスをやや欠いた内容だが、ランチタイムは一三時以降の利用がないので、これをどうふくらませていくかが、これからの課題といえる。

・千葉市美浜ひび野二‐四

・電話/043・299・0845

(2面につづく)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド