ホロ酔いガイド 飲食店酒類仕入れのコツ、客に自己主張できる酒の仕入れ方法

1992.05.18 4号 18面

お酒をお客様においしく楽しく飲んでいただくには、第一に商品の種類の選定、第二に品質のレベルや内容についての判断、第三にはそのお酒がメーカーから出発して卸‐小売‐料飲店と経由してお客様の口に入るまでの品質管理の良否、第四にはそのお酒によくマッチした料理の選定や創造、第五には飲酒を楽しくさせる酒器・食器類の選定と組み合わせ、第六には熱燗・オンザロック等お酒のおいしい飲み方の提供、第七には様々なお酒の品揃えの充実によるお客様への選択の楽しさの提供、第八にはお店の内装と清掃等雰囲気の整備、第九にはウエイター・ウエイトレス等従業員の教育訓練・レベルアップ、第十には適切なお値段の設定等の項目が考えられる。

このようなことを念頭において「当店のお酒は」と自己主張のできるレベルに達しようとすれば、何といってもお酒そのものの仕入をどうするかが重要な問題になる。そのようなことでお酒の仕入についていえば‐‐

①その店の業態に合った商品を選んでくれる酒屋

②品揃えの充実している酒屋

③安定提供してくれる酒屋(配達を含めて)

④品質管理の良好な酒屋(良質な酒を売る酒屋)

⑤優れた商品知識を提供してくれる酒屋

⑥お酒の様々なおいしい飲み方を教えてくれる酒屋

⑦お酒の品質管理を指導してくれる酒屋

⑧値段を安く供給してくれる酒屋

以上の八項目を満たす酒販店を見つけ出すことが重要なポイントになる。

ところがどんな店でも、この八項目をすべて満たす店はないといってよい。問題になるのは、①~⑦までの項目と⑧の項目とが対立すること。

この問題をどう解決するか。それは自店がお客様にどのようなサービスを提供しようとするのかという方針とかかわってくる。価格重点で大衆向け一杯飲み屋でいこうとすれば、⑧の価格サービスに最重点をおく酒屋を選んで仕入れればよいことになる。この場合は商品の鮮度・商品知識・配達サービス等々の付帯サービスについて酒屋に要求することは出来ないし、要求してもそれを満足させる体制が乏しい。このように価格一辺倒でいくなら、近ごろふえてきた酒ディスカウンターがよいということになる。

反対に自店がお酒の品質や味のすばらしさ・料理とのマッチング・雰囲気の楽しさ等を提供しようとすれば、⑧を犠牲にしても、①から⑦までのサービスを重視しなければならないことになる。この場合大切なことは、自店にこのような①~⑦までのサービスを生かす能力があるかどうか、とりわけそのサービスに向いたお客様を集める能力や努力をする意欲があるかということである。

この点を自覚して酒屋を選ぶことが大切である。酒屋と商品にばかり期待して、それを生かす工夫(商品知識・品質管理・料理との組み合わせ…)を怠れば、お客様は高い酒を飲まされたと思うことになる。

料飲店が割安な仕入を出来たと思えるためには、自分の方にそれを生かす工夫を持つことが半分のウエートを占める。これがわかっていないと、酒屋とのつき合いが長続きしない。

これだけのことを頭においた上で最後に仕入の着眼点。

第一は右に挙げた①~⑦の項目を理解して、それを満たす酒屋を見つけること。

第二はそのような店に対する適切な心構えを持つこと。このような店には優れた品質の日本酒やワイン・ウイスキー・ブランデー等の品揃えが充実している。その場合、価格について余分なことをいわないこと。それをいうと、品薄の商品は回してくれないことになる。

第三は必ず一度店へ行って状態を見ること。特に倉庫を見ること。品質管理ができている店かどうか、新しい商品が揃っているかどうか、商品知識があるか、このような点をチェックする。

第四はそのような店を探すのにはどうするか。第一の方法は近くの有名な酒類問屋に聞くこと。第二は女性サービスとは別の高い付加価値を提供したいと考えている料飲店に紹介してもらって酒販店を選ぶこと。

安物買いの上手な友達の料飲店の紹介は避けたほうがよい。

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