エーゲ海のギリシャ料理

1993.11.15 40号 23面

《オリーブオイルがすべてにタップリ》 日本人にご飯、味噌汁、漬物があるように、ギリシャでも、フェタチーズ(羊の乳を塩のみで作る)、パン、オリーブオイルの三品が必需品である。旅行中、この三品は必ずテーブルに出た。

ポピュラーなギリシャ料理は「ムサカ」(ナスとひき肉の重ねたものに、ベシャメルソースをかけたもの)、「スブラキ」(肉の串焼き)、「カラマラキア」(イカのカラ揚げ)と「ドマテス・イェミステス」(トマトの中にひき肉と米を詰めて、オーブンで焼いたもの。時にはブドウの葉で包んだものもある)などで、たびたび食した。すべてにオリーブオイルがたっぷり使われている。しかし夏で雨がなく、気温は高い季節であり海風に吹かれて食していると油のくどさは感じない。

ロードス島より船で約二時間程で小さなシミ島に行った時のこと。明るい緑の山の下に、箱型の淡いベージュ色に統一された家並みを見た時は、そのさわやかな景色に感激して、胸がいっぱいになった。レストランはその店頭に広いスペースを取り、ヨシズ張りの下にテーブルが並んでいた。たっぷり盛られた酢ダコ、伊勢エビそっくりの塩焼き、ゆがいたイカ、フライドポテトと、野菜(完熟トマト、青菜、キュウリ、ニンジンなど)に歓声をあげた。

《地酒のメタクサとウゾウでカンパイ》 アルコール飲料はアムステルダムビール(ドイツ製)とハイネケン。地酒はメタクサ(ブランデー)とウゾウ(焼酎)で、いずれもなかなか美味なもの。

サントリーニ島などは五~六軒目につく程だが、大きなロードス島などの観光地はホテルもレストランも多い。道路にテーブルを並らべ、ビーチパラソルの下で人々は楽しく食事をする。オリンピック航空機の機内食は他社とほぼ同じ。ただオリーブの匂いの強い料理でありオリーブの実さえ添えられている。珍しいメニューでは「スプランブル」(卵料理)の下にこんがり焼いたトーストがあった。デザートは甘ったるい。特記するのはコーヒー。機内、ホテル、レストランといずれも、にがみは弱くまろやかで、コーヒータイムは心が和んだ。

トウモロコシが街角で焼いて売られていた。とても甘く焼き味はよかった。もちろん醤油はぬられていない。

珍しい料理も、その土地、その季候のもとで食するので異和感はない。食物も旅行中、興味のひとつである。

(樋田)

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