外食産業活性化への提言 すかいらーく=順調なガスト転換

1994.01.17 44号 15面

㈱すかいらーくは夏に今期(1~12月)の業績を下方修正、通期の売上高一三三〇億円、経常利益九〇億円、当期利益四〇億円とした。微調整はあるものの、予想通りの業績で着地したとしている。FRすかいらーく上期の既存店ベース客数は六・三%減、客単価四・三%減、売上高一〇・六%減と厳しかった。

外食産業全体が低迷している中、7月にすかいらーくは現状を打開するために、グループでリストラを積極的に推進していくことを発表。その柱はFRすかいらーくを低価格業態「ガスト」に年内三分の一強である二〇〇店を看板替えするというものであった。

実際に作業が始まったのは9月からで、年末にはガスト二一四店となった。対象は全国規模であるが、約半分の一一〇店は一都六県の首都圏。FRすかいらーくは五九店出店したが、ガストへの転換により、年末は五三七店、イエスタディーは二〇店となった。九四年の出店は三五店、内FRすかいらーくは四店、残り三一店はガスト。九四年末にはすかいらーく三九八店、ガスト三九五店とほぼ同じになる予定だ。

ガストの客数は平均して転換前の約二倍で推移している。客単価は約三割低い八〇〇円前後に設定しているので、単純計算で転換店は四割売上げが伸びたことになる。FRすかいらーくの売上げに占める食材費率は三〇%、人件費率三〇%、ガストは同三五%、二三~二四%とメニューアイテムを絞り、付合せをひかえて食材費の効率化を図り、サービスの見直しによる人件費の削減で低価格を実現しており、さらに、今年1月からグループの共同仕入を開始し、質とコストを追求する。

ガストはメニュー数が少ないので、開店景気が去れば客数も落ちるのではという見方があるが「出店して一年以上たつところもあるが、客数は増えている」「日常的、機能的な食事に過剰なサービスはいらない。わが家の台所がわりということから、“ダイニングハウス”と位置付けており、食べるという単機能に徹した新業態の提案で、外食の選択肢を広げてあげることができた」(渡邊鴻取締役)という。

FRすかいらーく本体は11月から都内の一店でメニューを中心にコンセプトの見直しを実験しており、この結果を待って「再生すかいらーく」として全店をリカバリーする予定である。

グループのリストラを掲げて途について四ヵ月たったばかり。今年は業態の完成に向けて店内の雰囲気やオペレーションなど細部の見直しを図る。すかいらーくは創業時「ホテルの味を半額で」がサブタイトルだった。原点にもどりマスマーケットを対象にした企業の生残りをおこなっていく。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら