高成長の宅配ピザ シカゴ・ファクトリー=販促・イベントで差別化
シカゴピザファクトリー(トロナジャパン)は、八六年10月、東京・渋谷に第一号店を開設して以来のデリバリービジネスだ。
今年10月で満八年になるわけだが、店舗数は1月末現在、FC一一五店、直営二八店の計一四三店を数える。
FC出店が八割を超えるわけだが、大阪五四店、東京四五店、名古屋一六店と大都市圏中心のチェーン展開だ。
FC加盟条件は契約金一〇〇万円、保証金二〇〇万円、商標使用料(月額)五万円、POSシステム開発協力金三〇万円、店舗設計指導料二〇万円の計八五〇万円。
これに内外装・設備費の一八〇〇万円(不動産取得費を除く)を加えると総計二六五〇万円の初期投資で、デリバリー店舗(一五坪)が開業できるということだ。
店舗の立地は大都市圏の都心が二km、地方都市三km圏で、この節囲内に二~三万世帯、人口五~六万人が住むというのが一つの目安だ。
平均的な店舗の売上げは月間六〇〇万円。営業コストは原価率三〇%、人件費二五%、営業管理他二五%で、営業利益が二〇%という内容だ。
売上げの大きさは地域や場所によって異なってくるが、ペイラインを低く設定してあるので、売上げを大きく取らなくても、十分に収益を上げていける出店形態にある。
問題は他チェーンとの差別化であり、競争力だ。これはFCオーナーの意欲とチャレンジ精神にもかかわってくるわけだが、FCオーナーにヤル気がなくては、本部が開発したノウハウもシステムも生きてこない。
「地域によっては複数の宅配チェーンが入り込んで競合が激化しているところもありますから、地域一番店として自己のパイをどう確保するかということですが、私はやはり最後はオーナーさんのヤル気と営業力にかかってくると思うんです。
ハッキリいって宅配ピザは物販が八割、FF機能が二割というような要素を秘めていると思うんです。つまり、文字どおりにデリバリービジネスであるわけでして、ピザ需要の情報を取っていくことが大事なポイントになってくるということなんです」(トロナジャパンCPF事業部チーフマネージャー中野雅弘氏)。
加盟店にすべてゲタを預けたわけではない。市場の変化や消費動向をチェックするためにPOSレジも導入しているし、販促についても全国的キャンペーンから地域別のキャンペーンも展開している。今やデリバリーピザは販促、イベント力も差別化のツールになってきているのだ。
トロナジャパンは七八年に米国の大手ピッツア原料メーカーのトロナピッツアプロダクツと、ピッツアオーブンの世界的メーカーであるベーカーズプライドの両社とそれぞれ業務提携しており、宅配ピザチェーンの展開だけではなく、ピザ生地、リース、チーズ、トッピングなどの食材をはじめ、ピザビジネスに必要な資材や備品をトータル的に扱い、世界最高レベルの製品を供給しているわけだ。
ピザの製造から販売までの一貫体制。九一年7月には京都の宇治田原工業団地内にクラストから製品までの最新のピザ工場を完成させている。
ここからは各チェーンに冷凍ドゥーやトッピング、チーズ、ソースなどが供給される。店舗ではこれらをアセンブリーし、調理するだけでよく、本来の店舗オペレーションに集中できる。
つまり、店舗段階での営業に力を注ぐことができるということだ。チェーン展開は日本国内ほか、韓国(六五店)、台湾(七店)でも具体化している。海外でも通じるデリバリーノウハウ。この点が他チェーンとの差別化の武器だ。