施設内飲食店舗シリーズ ウイング高輪(東京・品川) 若い女性がターゲット

1994.05.02 51号 4面

京急ショッピングプラザ「ウイング高輪」‐‐ホテル、オフィス、商業ゾーンの三ブロックで構成された複合都市施設。商業ゾーンには衣料、飲食、雑貨、サービスなど計六三店舗が出店している。右後方はパシフィックホテル

JR品川駅西口の前。第一京浜国道に面して、正面(フロント)が展開している。昭和58年11月オープン。今年で一一年目を迎える。

この施設は京浜急行電鉄本社跡地の再開発事業として具体化したもので、ビル施設としてはSOUTH・WING(地上三階、地下一階)、EAST・WING(地上一四階、地下一階)、WEST・WING(地上一二階、一部五階)の三つのブロックから成っており、ホテル、オフィス、商業施設を展開するフロア構成となっている。

ウエストウイングは高輪京急ホテルとドイツ製薬会社のバイエル、イーストウイングにはソニーが入居している。

サウスウイングは商業ゾーンで、京急ショッピングプラザ「ウイング高輪」が展開する。地上三階、地下一階のフロア構成で、延べ床面積一五三六坪、ここに衣料二七店をはじめ、飲食一六店、雑貨一四店、サービス六店の計六三店舗が出店している。

「都会の中のリゾート感覚」。これはウイング高輪の開発コンセプトで、空間(フロア)の展開にゆとりをもたせているほか、フリースペースとしてEAST・WING一階中央にセンターコート、EAST・WINGとWEST・WINGの境目にウエストコートを設け、ミニコンサートなどイベントを展開するコミュニティスペースとしての機能をもたせている。

施設利用の客層は圧倒的に若い女性客が多く、平成4年に実施した来館調査では二〇~二四歳が四八%、一九歳以下二一%、二五~二九歳一八%で、使用客全体の男女比は一対四の割合。

来館者数は一日平均約二万九六〇〇人で、平日に比べ土・日が一割ほど増加する。

しかし、消費の低迷が続く現況においては、来館者は減少しており、とくに衣料分野は客数、売上げともに二、三割前後ダウンする店も出てきており、このため営業不振で店をクローズしたところもある。

飲食店舗は地下一階に四店、地上一階七店、二階五店の計一六店舗が出店しているが、やはり対前年比一〇〇%以上をクリアしている店は少ない。

今年2月の売上げ実績では物販・サービスの月商四億円に対し、飲食分野で同二億六〇〇〇万円で、一店舗平均月間一六〇〇万円の売上げとなっている。

「この施設は若い女性向けの衣料が主体で、飲食は従という形なんですが、私どもの店はとくに衣料ショップと補完する形になっていますので、衣料の客数と購買力が落ちますと、やはり店の売上げに影響が出てくるわけです。現に平成4年11月から今年1月まで客数がずっと下降してきていまして、この2月にやっと落ち込みがストップしたのですが、客数減による売上げの減少をどう引き上げていくかが、今後の大きな課題で客単価を少しでも伸ばしていく工夫をと考えているところです」(カフェテリアJACK&BETTY CLUB佐藤仁志店長)。

ジャック&ベティクラブは元来が若い女性が主力ターゲットであるので、衣料不振と連動して客数減になったということだが、しかし、地下一階に出店する中国料理「高輪」、日本料理「つきじ植むら」、天ぷら「つな八」、すし「築地玉寿司」は、ブランド力もあって対前年比一〇〇%をクリアするなど善戦している。

地下一階は四店舗で「ウイングレストランプラザ」を構成しており、地域のビジネスマンや沿線のファミリー客、宴会、グループ客の利用が多く、また客単価も三〇〇〇~四〇〇〇円以上と高い。

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