成長するカジュアルレストラン 「吉祥横浜店」新しい客層の開拓狙う日本料理
「日本料理は高いイメージがある」(道場六三郎氏)。日本料理イコールお座敷だが、細川元首相の「密室である料亭使用禁止」の爆弾発言に続く武村元官房長官の「五万円以上の料亭は使用しない」発言で不況下の売上げ減に追いうちをかけたのは昨年のできごとだ。是非はともかく、日本料理は限られた人しか利用できないという部分は確かにある。一方で、日本料理を親しみやすいプライスにして間口を広げ、新しい客を開拓しようという新たな動きがある。従来店とは全く違う客層を狙ったり、延長線上のプライベート利用を狙ったりとアピールの仕方はさまざまだが、ゆき届いた料理・サービスの満足度は高く、繁盛店となっている。特に最近の風潮であるサービスレスで低価格とは袂を分かち、いかにサービスを向上させるかにしのぎを削っているのが特徴だ。
しゃぶしゃぶ・日本料理の「吉〓」は赤坂・日比谷に社用接待利用を目的とした外国人の接待にも耐えられる“モダンな和風”の店を展開しているが、昨年7月、横浜のランドマークプラザに出店、神奈川県に初進出した。みなと未来二四街区が数年後に完成して、本来のビジネス機能を持った時の社用接待を取り込むことが本来の目的だが、ランドマークタワーは今年のゴールデンウイーク時の集客が全国四位になったほど、観光客の集客力は抜群である。
従来の赤坂・日比谷店は七割が社用接待、三割がプライベート利用となっている。これに対し、横浜店は現在七割がプライベート利用。数年後の二四街区完成で五割五割の客層を見込む。
あくまでも店の基本は「サービス」。他店との差別化を“気づかい”とする。横浜店のウエートレスはパートも含めて日比谷店で四五日間研修を受けている。プライベート利用の最大の顧客となる女性層には店内のインテリアから生花を豊富に飾るなど、積極的にアプローチしている。
価格面でも赤坂・日比谷店のテーブル席コースメニュー一万二〇〇〇円~に対し、横浜店は八〇〇〇円~、ランチは同二五〇〇円~に対し二〇〇〇円~と三~四割安く設定、料理とサービスは同質を心がける。横浜店は女性およびファミリー、若いカップルと同社にとっては初めての客層を取り込み、当初見込み通りの推移となっている。
吉〓横浜店 045・222・5522