施設内飲食店舗シリーズ 新宿パークタワー(西新宿)大手企業50社が入居
新宿パークタワーは今年7月にグランドオープン。東京・JR新宿西口の超高層ビル街の西端、甲州街道に接する。地下五階、地上五二階、高さ二三五m。ホテル、オフィス、商店、イベントホール、リビングデザインセンターなど五つの機能を集約する複合型インテリジェントビルで、新宿新都心の新たな集客スポットとしての存在をアピールしている。
新宿パークタワーはJR新宿南口から徒歩一二分。やや歩くという感じだが、甲州街道からストレートにアクセスできる立地条件にある。
ロケーションは、東京都庁舎の南側に位置しており、遠方からもよく見える。都庁舎と同じく、丹下健三氏の設計というだけあって、ゴシック建築風のビルデザインは似ており、この一画だけは他のビル群とは異なった都市景観をアピールしている。
このビルは東京ガスのガスタンク跡地を利用して建設したものだが、JR新宿からは遠いものの、近接地には新宿中央公園が展開するほか、甲州街道をはじめ水道通り、山手通り、さらには首都高速四号線の新宿や、初台ランプなど地域アメニティと交通アクセスには恵まれており、好ロケーションにある。
ビル施設については、世界の高級ホテルチェーンであるハイアットに加え、オフィス、住・インテリアや生活雑貨関係のショールーム(情報センター)、多目的ホール、物販・サービス・飲食などの商業ゾーンを展開する多面的な機能を有しているわけだが、最新の複合型インテリジェントビルという施設機能を誇っている。
このため、ビル業界はバブルがハジケて厳しい状況にあるにもかかわらず、パークタワーの場合はオフィスも店舗も入居率は高く、契約率はオフィスが七〇%、店舗が一〇〇%という実績で、このビルのスーペリオリティ(付加価値の高さ)を証明している。
「都庁と同じ丹下健三氏が設計したビルということも大きな強味ですが、基準面積が大きいこと、OA対応のシステムほか、防火・防災、空調などの面で最新のビルシステムを採り入れて、高付加価値のインテリジェントビルということですから、この点がテナントに大きく評価、支持されている理由のようです」(東京ガス都市開発・パークタワー事業部・ビル営業部店舗グループマネージャー戸田賢一郎氏)
オフィス分野の入居者は、現在、大林組、清水建設、大成建設、五洋建設、岡村製作所、サンウエーブ工業、高砂熱学工業、旭硝子、INAX、NTTデータ通信、伊藤忠商事など大手企業約五〇社。
このオフィス人口は三〇〇〇人、来館者を含めると一万人前後のビル人口になるが、他にリビングデザインセンター「OZONE」に、一日平均三〇〇〇~五〇〇〇人の見学者が訪れているので、小さな街の出現という状況を呈している。
これらビル人口を支援する目的で、ショップ&レストランの商業ゾーンを展開しているわけだが、この7月の実績ではレジ客で物販が七万四〇〇〇人、飲食が六万一〇〇〇人の計一三万五〇〇〇人で、大きな集客力をみせている。
単純に計算すれば、一日平均四〇〇〇人以上の施設利用者(飲食、ショッピング客)ということになるが、飲食店舗は八店(9月内に新規に五店出店)の営業であるので、7月のみで一店舗当たり約七六〇〇人を集客しているということになる。
飲食店舗の利用はオフィス関係だけでなく、近隣住民の利用も多く、土・日などはファミリー客や若い人たちのカップル利用が主流になる。
「平日、土・日の格差があると覚悟していましたが、それが全くないのでオドロキました。平日はオフィスワーカー主体なんですが、土・日は代わってファミリーや若いカップル客が来店していますので、営業面では予想を上回る成果です」(サンドイッチ&オムライス『グルメ』)
商業ゾーンの売上げは初年度年間ベースで三四億円を設定しているが、オープンから順調な集客力をみせていることから、十分にクリアできる見通しだ(前出パークタワー事業部戸田マネージャー)。
施設データ
・名称/「新宿パークタワー」
・所在地/東京都新宿区西新宿三‐七‐一
・建築主/東京ガス都市開発(株)
・敷地面積/八〇〇〇坪
・建築面積/二九〇〇坪
・延床面積/八万坪
・基準階面積/一三六〇坪
・施設規模/地下五階、地上五二階、高さ約二三五メートル
・主要施設/オフィス、ホテル「パークハイアット東京」、リビングデザインセンター「OZONE」(オゾン)、多目的ホーム「パークタワーホール」、ショッピングレストラン「パークタワーアベニュー」、アトリウム、駐車場(約八〇〇台収容)
◆「上野精養軒」レストラン
上野精養軒は明治5年(一八七二年)の創業というから一二〇年以上の歴史になるが、もちろん日本の草分け的存在のレストランだ。
この店は今年7月4日のオープンで、二一店目の出店だ。店舗面積四七坪、客席数七二席、新宿中央公園側のサンクガーデンに面しており、ワイドなウインドー越しに、人工のせせらぎを眺めることができるほか、明るい外光を受けることができる。
ショップ&レストラン街でも恵まれた場所で、この店の雰囲気にふさわしい環境だ。
メニューは11時~15時までのランチタイムが、本日のランチ一三〇〇円、スペシャルランチ一八〇〇円、ハヤシライス八〇〇円、ポークカレー七〇〇円、17時~22時までのディナーメニューがレディースディナー四五〇〇円、ステーキディナー六〇〇〇円など。
客層は平日がオフィスワーカー、土・日はファミリーが主体で、意外にも近隣地の住民の利用が多い。
客単価昼一〇〇〇円、夜五〇〇〇円、平均日商四三万円ということだが、これは目標よりはるかにアンダーの数字だ。
低価格志向が大きなトレンドになっている現在、客単価が低くなっているのも売上げが伸びない理由の一つだが、フランス料理の高価格イメージと上野精養軒のストアブランドの高さも、消費者の足を遠のかせている要素で、消費者ニーズの変化にどう対応していくかが、今後の大きな課題だ。
オープン=平成6年7月▽店舗面積=四七坪▽客席数=七二席▽営業時間=ランチ11時~15時、ディナー17時~22時、土・日・祝17時~21時▽代表的メニュー=ランチ/ハヤシライス八〇〇円、ポークカレー七〇〇円、ディナー/ステーキディナー六〇〇〇円▽客層=平日サラリーマン、OL、土・日・祝ファミリー主体▽客単価=昼一〇〇〇円・夜四〇〇〇~五〇〇〇円▽売上げ=昼一八万円、夜二五万円(日商)
◆「花うたげ」日本料理
日清製粉の子会社フレッシュ・フード・サービス(株)(本社=東京・中央区)が経営する日本料理店。
「どんど」「味彩」のチェーンブランドで直営一〇店、FC三店を出店しているが、「花うたげ」は旬の味覚と新鮮な活魚料理を売りものにした新業態だ。
メニューは会席料理(コース)三五〇〇~八〇〇〇円をはじめ、造り七五〇~二〇〇〇円、一品料理三八〇~七〇〇円、串焼き料理四〇〇~二五〇〇円、揚げもの四〇〇~六〇〇円、昼膳八〇〇円~、御膳一〇〇〇~三〇〇〇円、丼物八五〇~一二〇〇円など。
アルコールもビール、ウイスキー、清酒、焼酎、サワー類と豊富に揃えており、食べてよし、飲んでよしの運営形態にある。
会席料理は、店の看板料理で菊コース三五〇〇円、蓮コース四〇〇〇円、藤コース五〇〇〇円、茜コース六〇〇〇円、葵コース八〇〇〇円の五種類を揃えているが、値ごろ感のある藤コース(先付、前菜、造り、鍋もの、揚物、酢のもの、食事、水菓子)に人気が集中している。やはり高い価格帯のメニューは売れないということだ。
しかし、人気といえばメニュー全体からみると、串焼きの売れゆきが好調で、全体比七割の売上げ貢献度だという。
焼鳥五五〇円、アスパラ牛肉六五〇円などフレッシュなトリと牛の串焼きで、オリジナルのタレも人気のヒミツだ。
客単価昼一〇〇〇円、夜四〇〇〇~五〇〇〇円。月商一七六〇万円で、これは目標を二割も上回る数字だ。
オープン=平成6年5月▽店舗面積=五〇坪▽客席数=九三席▽営業時間=11時~22時▽代表的メニュー=会席料理三五〇〇~八〇〇〇円、串焼料理四〇〇~六五〇円▽客層=平日サラリーマン、OL、土・日ファミリー主体▽客単価=昼一〇〇〇円、夜四〇〇〇~五〇〇〇円▽平均月商=一七〇〇万円~
◆「グルメ」サンドイッチ&オムライス
実演手打うどん「杵屋」グループの直営店。通廊からみて右隣に杵屋を出店しており、隣合わせ二業態での営業だ。
オリジナルサンドイッチとオムライスの店で、イートインに加えてはテークアウト機能も有している。
店舗面積二八坪、客席数四四席。
グランドメニューは、サンドイッチがツナとたまごサラダ六三〇円、ハムとチーズ六五〇円、ハムと野菜七〇〇円など一三種、オムライスがミートソース六八〇円、ナスミート七〇〇円、ビーフカレー七三〇円など七種。
このほかにはカレー三種(六五〇~七〇〇円)もおいている。客単価は昼八〇〇円、夜九〇〇~一〇〇〇円。客層はサラリーマン、OL、カップル、ファミリーなど、日商二五万円。
オープン=平成6年7月▽店舗面積=二八坪▽客席数=四四席▽営業時間=11時~22時▽代表的メニュー=オムライス(七種)六八〇~八三〇円、オリジナルサンドイッチ(一三種)六三〇~九〇〇円▽客層=サラリーマン、OL、カップル、ファミリー客▽客単価=昼八〇〇円、夜九〇〇~一〇〇〇円▽平均日商=二五万円