ラーメン新興チェーン急速に拡大 老舗FCの勢い鈍る

1994.12.19 66号 18面

不況に強く、安定的な外食マーケットとして定着しているラーメン。この業態が大きく伸びるきっかけをつくったものとして、昭和40年代に全国的なブームを巻き起こした札幌ラーメンがあげられよう。特に「どさんこ」をFC展開した「ホッコク」はその代表的な企業で、あっという間に全国に広がったことは記憶に新しいところだ。

しかしその後、巨大化した老舗のFCほどFC本部と加盟店オーナーとの間で意思のズレが出たり、オーナーが高齢化し、後継者育成が出来なかったことも影響、新規出店と退店を繰り返し、一時の勢いがにぶってきているのも事実である。

日本フランチャイズチェーン協会によると、ラーメンチェーンの店舗数は全国で約七〇〇〇(企業数五〇)、売上高は約三〇〇〇億円に達している。

ところが、「札幌」「東京」「博多」(とんこつ)、「喜多方」が加わり昭和50年代後半から再び静かなブームとなっている。

FCについても、老舗の大手FC本部からの分離独立という形態で、ここへきていわゆる中堅の新興チェーン店が急速に店舗を拡大するなど、新しい形での動きも出てきている。

喜多方系ラーメンでは、スタッフも揃いオペレーションがしっかりしており、首都圏を中心に「坂内」(ばんない)を三八店舗展開する(株)麺食。

関東を中心に四九店舗(ほかにJR四国と業務提携=麺小町を四国で一三店)を有する「蔵」(くら)の(株)キタカタ。

平成3年創業という新興勢力だけに老舗のラーメンFC店における問題点などを反面教師として学び、加盟店には飲食業としてラーメン店の将来のあるべき姿を徹底的に指導・教育しているのは、「ラーメン専科」のブランドでチェーン展開をする(株)ミツバニッコウ。

ローコストオペレーションの追求、セントラルキッチンの的確な運営を生かして食材面での差別化を図っている「ラーメンとん太」の(株)秀穂。

九州は博多名物、とんこつラーメン「秀干ラーメン」で全国に三〇〇店舗以上を展開する重興産業(株)。

いずれも昨今急成長を遂げているラーメンチェーン店である。

いずれにしても、外食市場の中でラーメン店は個人的にも誰でもが手軽にチェーン加盟店に入り、独立して店舗開店(展開)が可能なだけに、チェーン本部においては加盟店に単なる食材面だけを押しつけ的に提供するだけでなく、本部における新メニューの提案、社員教育はもち論、血のかよった支援がどれだけ出来るかが、その繁栄へのカギを握っているといっても過言ではないようだ。

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