今人気のショーパブ・レストラン 食事はドラマチックに

1995.02.06 69号 2面

一昨年12月、日本で初めて外人男性ダンサーによるショーを行った店が、J‐men S〓(東京都港区、03・3409・7607)。

「男性が遊べる場所は数多いが、女性が大騒ぎできる場所、ストレス発散できる場所として、ショーを取り上げました」(本田圭輔主任)といきさつを語る。

今までに女性の遊び場として、ホストクラブが話題を呼んでいたが、「どうしても暗いイメージが強く、“明るく、楽しく、そしてちょっとエロチック”」をコンセプトに、アメリカからプロダンサー七人を招き、鍛え上げられた肉体で、優しくしなやかに、また大胆に踊り、歌うショーにした。

一日三回のショータイムは、すべて予約客で埋まるが、一部のカップルを除き、ほとんどが二〇~四〇代の女性。

「幅広い年齢層に楽しんでもらうため、価格帯もリーズナブルに設定」したという。

全席六六席。最前列プレミアムシート七〇〇〇円、一般席四〇〇〇円。すべてフリードリンク付きである。

「女性客のためのフリードリンクとしました。カクテル類に人気がありますが、ショーが始まると飲むほうは止まるようです」

このほか、一階、四階のレストラン部と連動させたセットコースに、イタリアンディナーセット一万円、ドラッグストアの飲茶コースセット七〇〇〇円がある。

“屋台村”で一大ブームを引き起こした(株)一龍グループ(東京都世田谷区、03・5491・2111)は、同チェーン六店目となる月島店でショーレストラン展開に乗り出している。メニューやサービスの形態は既存店と同様で、毎日午後7時30分~8時30分までの間、店内の正面中央ステージで漫才や歌謡、マジックショーなどを催している。さしずめ大衆的な和風ディナーショーといった感じで近隣庶民の間で人気を呼んでいる。

「ショーには食事が付き物。ビル内の上で食事をし、下でショーを観るセットコースは好評の上、私共も客数の確定ができる」

すでに「はとバス」のコースにも入っており、JTBや近畿ツーリストとも提携を結んでいる。

欧米では定着した業態だが、「流行りものではなく、安心して男女とも楽しめる店にしていきたい」と、日本では、まだまだ定着に及ばないショービジネスへの熱意を語る。

安易な模倣による相次ぐ出店で苦戦する同業店に「ショーレベルの高さ、ダンサーの質の高さを維持する必要がある」とアドバイスすると同時に、「ショーアップしたライバル店がどんどん増え、ショービジネス旋風をおこしたい」とする。

全国FC展開を目指し、第一号の福岡東映プラザビル内店を皮切りに、大阪、札幌を計画中という。

「外食も多種多様で豊かになり、空腹を満たすだけでは集客を図れない」(三浦愛三社長)がオープンのきっかけ。“見ながら食べる”ことに慣れているテレビ世代の客層をターゲットにした狙いもあったという。店内は二八〇坪、三五〇席で既存店の約三倍という巨大スペース。既存店においても同様のショーを催した実績があるが、音響や原価などの面でさまざまな不都合があるとして今回の運びとなった。

ステージとショーの管理は月々約三〇〇万円で芸能プロダクションに委託する。

当日にならなければショーの内容が発表されない楽しみも人気の秘密という。

開店して半年を迎える同店の回転率は三回に達する。だが、いままでの集客力は“一龍”のネームバリューが先行しており、「ショーの効果が集客に結び付くか否かは今後一年間を見なければ……」と、あくまでも慎重な構えだ。

「一龍屋台村・月島店」(東京都中央区、03・3531・1166)

「スーペルバッカーナ」(東京都中央区、03・3573・5499)は、一昨年10月、ブラジル料理シュラスコのパイオニアとしてオープン。以後、豪快な開放感溢れるサーブ方式、折りからのJリーグブームを追い風に爆発的人気を得、今では、すっかり定着している。

「今までの生バンド以外にブラジルの雰囲気を出すものをと現地に出掛け、取り上げました」(鵜澤宏昌営業課長)というのが、パンデーロ、カポエイラ、リフティングのショーである。

パンデーロ、リフティングが、それぞれタンバリン、ボールを使っての民族的な曲芸。

カポエイラは、その昔、アフリカからブラジルに連れてこられた黒人奴隷が、主人から課せられる非道から身を護るため、ダンスと見せかけた一種の護身術をあみ出し、身の危険を感じるや攻撃術として使ったという。

昨年10月からこのショーを入れているが、「シュラスコ食べ放題三〇〇〇円を値下げしようと思えばできる。わずかの金額を下げるより、おもしろかった、おいしい、楽しい気分にさせる別の付加価値を付け、リピートにつなげたい」(鵜澤氏)と、本場ブラジルから二五人のプロを呼び寄せた。現在渋谷と銀座の二店に出演している。

ブラジル色を出すためのスタッフ六〇人中七割近くがブラジル人だ。

「国民性の違いからいろいろな面でぶつかることはありましたが、逆手に取って彼等ラテン系の特質を生かし、客とサービスマンが一緒になって雰囲気を盛り上げています」(鵜澤氏)。

客層は、OL、ビジネスマンが中心で、女性連れ、男性グループ、カップルと年代層も幅広い。

「週末と最近は水曜が混み、妙技を見たいという人も多く、逆にシュラスコが目的だったのに思わぬショーにビックリする人とさまざまです」(古屋直之支配人)と言いながらも、次から次と入る客をテキパキと席に誘導する。

全席三二〇席。平日四〇〇人、週末、水曜で六〇〇~七〇〇人、客単価四〇〇〇円。

歌とバンド、ショーとエキサイティングな雰囲気の中、男性客は「ブラジルの味が懐かしくよく来るが、ショーを観ると気分も変わり、また食べたくなりました」と満足気。

昨年末の12月21日、浅草六区通りにショー&ビアレストラン「Rock n〓69」(東京都台東区、03・3842・3169)が誕生した。

浅草の復興と活性化の一環として「浅草おかみさん会」(冨永照子会長)が、ダイエーグループとタレントの萩本欽一さんに呼びかけ、ショーが楽しめ、ゆっくり飲食もできるショー&ビアレストランをオープンさせた。

「おかみさんとは、二年前に知り合い、浅草をなんとかしようという話から、劇場の話が具体化した。昔の浅草を残しながら、新しい浅草をつくりたい」(萩本欽一氏)と抱負を語ると共に、若手コメディアンの「心の故郷となり、修業の場となる劇場」に期待をこめる。

浅草ロックン・ロックビル内の二・三階で吹き抜けのショーを見ながらビールが楽しめる「Rock n〓69」(三五〇席)で、一階に「ビッグボーイレストラン」「しゃぶしゃぶどんぼーい」が入っており、飲む、食べる、観る楽しさを一堂に会した場である。

客層は、場所柄、お詣りついでのお上りさん、ファミリーを中心に、OL、ビジネスマン、ヤングカップルといったところ。

メニューは、ディナータイム二九〇〇円で、ショーチャージ&一プレート+一ドリンク付き。追加メニューにフライ、グリル、煮物、点心、サラダなどすべて五〇〇円均一。このほかスペシャルとして牛ヒレ肉一口ステーキなどが一〇〇〇円均一。ドリンクは、すべて五〇〇円均一。

「“欽ちゃん劇団”の若手コメディアンが、一日二回公演をし、食事をしながらお笑いを楽しむ雰囲気が受け、人気を得ています」(星康裕ストアマネージャー)

オープンしたばかりで、一日の来客数一〇〇~二〇〇人と平日、週末のバラつきがあるが、「反応は確かです。認知度が高まれば徐々に人は増えてきます」と一日二〇〇人の集客を希望する。

「浅草の活性化のため、少しでも役立つ方向にもっていきたい」と七〇人のスタッフともども頑張る。

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