活性化するカレー専門チェーン 底力十分で新規参入相次ぐ
カレー専門チェーンへの参入が目立っている。一等地立地をねらわなくてもよい、初期投資が低い、老若男女が好む国民食、トッピングのみでバリエーション拡大可能などなど、外食産業が伸び悩んでいる中で底力のある「カレー」に注目が集まった。一五年ほど前にもカレー専門店ブームがあり、高級店の「ボルツ」はその代名詞でもあった。ここでにわかにブームになりつつあるカレー専門店は、「香辛飯屋」の高級路線もあるが「POT&POT」のように低価格嗜好を反映した店が多い。とはいえ、不況下に既存店売上げ前年比四七ヵ月二桁成長をバネに急成長した「CoCo壱番屋」に次ぐチェーン店は見当たらない。現状は「カレー市場は大きい」(吉野家ディー・アンド・シー)と第二、第三の壱番屋をめざしてノウハウを蓄積している段階だが、カレー専門店が再び時代のトレンドとなる日も近いと思われる。
業界では他の追随を許さないCoCo壱番屋は独自のメニュー戦略、出店戦略で成長した。メニューでは(1)基本となるカレーソースはポーク、ビーフ、甘口ポーク、ハヤシの四種類(2)ライスの量は三〇〇g単位で大盛対応(3)辛さを自分で調整できる(4)三二種の単品メニューを基本に三〇種類の具をミックスオーダーできるというように、フルチョイスシステムを開発。出店面では直営二五%、一般FC二五%、社員のれん分け五〇%の比率で全国展開を行っている。
今後は既存業態に加えてクイックサービスとローコストオペレーションを基本コンセプトにした「FSココイチ」の展開に注力していく。
カレー専門店の老舗「C&C」は、二八種のスパイスを使った辛口のオリジナルカレーでリピート客をつかんでおり、二~三年は既存店の活性化に注力しながら、オリジナルカレールーの販路拡大を行っていく。現在、同店のオリジナルルーを使っている店舗は二十数店あり好評である。
「ハナグルメ」は素材をフレッシュにこだわり、材料炒めから煮込みまでじっくり手作りをして医食同源を貫き、ロードサイド、ビジネス街などに出店、地域に根ざした店づくりを行っている。
東京小僧寿しは、筑波の石塚プロジェクトとのジョイント事業として「香辛飯屋」を出店。ゆくゆくは共同で新会社を設立、展開の予定だ。
香辛飯屋は前出のカレー店とは異なり、カレーのFR的な位置にある。味にこだわり、カレーの季節メニューを投入し、サイドメニューの充実にも注力している。フライ物は店舗の厨房でパン粉をつけて揚げたてを使用するなど、味のためには手間をいとわないオペレーションになっている。
二〇~三〇代の女性が主力でランチ時は六割を占める。今後は四~五店、郊外型、一五台ほどの駐車場あり、四〇坪、四八席の店舗を出店してノウハウを蓄積する。