飲食トレンド 高まるパチンコ店での飲食サービス
パチンコ店で飲食サービス熱が高まっている。いままでの飲食といえば自販機程度のものしかなかったが、最近はFF(ファストフード)のデリバリーサービスを採用したり、独自に喫茶スペースを作る店舗が増えている。パチンコ新時代に飲食サービスは欠かせない、ともいわれている。パチンコ店の飲食サービスの最先端と、その背景を探った。
市場規模一八兆円、遊技人口三〇〇〇万人に達するパチンコ業界は、一見華やかに見える。だが舞台裏では熾烈な集客争いが繰り広げられている。華美な内外装、洗練された接客サービス、景品類の工夫、飲食サービスの導入など、集客力を高めるための付加価値戦略は多岐にわたる。
パチンコブームは依然として続いているが、「店舗乱立で各店とも集客数が頭打ち。横ばいの現状を打破するには女性や新規のユーザーを吸引するしか手がない」(パチンコ必勝ガイド編集部)という背景があるためだ。
なかでも飲食サービスについては、付加価値以外にも狙いがある。
「連チャン機の禁止でCR機(確率変動型)へ移行が進みギャンブル性が弱まった。そのためパチンコ店の荒利は以前の半分くらいに落ち込んでおり、薄利多売で稼働率勝負の時代にさしかかっている。玉を置いたまま食事休憩に外出する既存のパターンだと、その間パチンコ台が遊んでしまい稼働率が低下する。ユーザーの食事休憩に歯止めをかけ、稼働率を上げるためには、玉をはじきながら食べるという飲食サービスが必要」(日拓デベロップメント(株)開発事業部)
付加価値である飲食サービスは、反面でユーザーに休む間もなく玉を打たせようとする狙いがあるわけだ。同社の手掛けるパチンコ店は3月からFFのデリバリーサービスを採用している。
一方で、飲食を店舗レベルで取り入れて総合アミューズメント事業へ乗り出す動きもある。(株)ピーアークの手掛ける郊外型の「ピーアーク相模原店」は、FR(ファミリーレストラン)、DS(ディスカウントストア)の両方に共通するカード戦略を展開。「ファミリー層に楽しんでもらうエリアを目指す」という方針を打ち出している。
また、女性客吸引を狙った飲食サービスも現れている。東和産業(株)の手掛ける「フレスコ」は、ゆとりある店内にワゴン車を走らせたオシャレな飲食サービスで女性ユーザーを増やしている。これらの他にも飲食サービスを取り入れる店舗が続出している。
だが、飲食サービスが色めく一方で解決すべき問題もある。パチンコ店は警察庁の管轄下にあるため、風俗営業法の規制を受けるわけだが、飲食にかかわる部分については、不透明な部分が多い。
飲食サービスを行うためには厚生省管轄の食品衛生法の規制を受けるべきなのか否か、業界内でもそれぞれに解釈が異なるようだ。「行政の対応の遅れが目立つ」という声も各方面で聞かれる。万が一、食中毒などのトラブルでも起こったらどこに責任の所在があるのか。PL法が施行されて間もないだけに、見解の一致が早急に求められよう。
いずれにせよパチンコ店における飲食サービスは今後さらに磨きがかかるだろう。店舗レベルの実態をリポートした。
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