FCビジネス点検 天丼専門店「丼丼亭」 条件は自己物件で客回転が見込める場所

1995.12.04 90号 20面

天丼といえば東京市場では「てんや」((株)テンコーポレーション)が知られており、和食(丼物)ファストフードとしての地位を確立している。

丼丼亭(グルメ杵屋)は、大阪市場を勢力地盤とする外食企業で、昭和63年11月、大阪・阿部野に直営一号店を開設して以来、堅実にチェーン化を進め、今年10月末現在、直営二七店、FC三店の計三〇店を展開する。

競合店のてんやチェーンとほぼ同時期でのスタートだが、てんやは今年10月末現在、直営オンリーで六一店を開設しているので、出店数においては後塵を拝しているということになる。

それはともかくとして、丼丼亭の店舗展開は大阪に加え、名古屋、東京地区でも活発化しており、ここ一、二年内にはトータルで五、六〇店のチェーン規模になる見通しだ。

てんやの直営出店に対し、丼丼亭はFCシステムも導入しており、現在三店舗を開設している。

FC店は平成4年7月、東京・西蒲田に出店したのが第一号店だが、正直いってFC店も思惑どおりには出店が伸びていないという状況だ。

「問い合わせは月当たり何百件とあるんですが、いろいろな条件で思うようにはまとまらないというのが実情です」(丼丼亭FC本部)

FC加盟の確率は問い合わせ件数に対し、一、二割以内だという。ハードルが高いということではないが、自己所有物件が大前提で、当然のことながら人の流れが多い場所というのが不可欠の条件になる。

低価格、薄利多売の飲食ビジネスであるので、初期投資が小さく、ある程度客回転が見込める条件下でなくては出店はかなわないわけだ。

店舗の大きさは八坪から一五坪までが標準で、八坪であれば、この開設資金はFC加盟金、保証金各二〇〇万円、設備・内装工事費各三二〇万円、什器・厨房設備三〇〇万円、設計・工事監理費一〇〇万円、消耗品・食品備品二〇〇万円、開業費二〇〇万円の総計一八四〇万円。

二〇〇〇万円以下の投資ということだが、これはあくまでも標準値で、場所や物件内容によっては防災対策などで、二、三割コストがハネ上がってくるという場合もある(本部)。

八坪のモデル収支は月商四八〇万円で、原材料四〇%、人件費二一・五〇%、償却四・一〇%、ロイヤルティー三%、営業利益一三・九%などで、投資は一年以内に回収できるという計算だ。

問題は商品力だ。メニューは天丼四九〇円、大盛五五〇円、特得天丼六八〇円、賑わい丼四九〇円、同大盛五五〇円と絞り込んでおり、徹底して効率化を追求している。

しかし、本部仕様に加えて、地域ニーズやFCオーナーの意欲を尊重して、独自のメニューを導入することも可能だ。

食材はエビなどの魚介類は冷凍物が主体だが、野菜や旬の材料は生鮮品が基本で、全般的に食材の質は高い。

油はごま油にコーン、ナタネなど他の植物油をブレンドしたもののオリジナル。また、粉(フラワー)も、たれメーカーに仕様発注したPB製品で、味づくりは本格的なものだ。

FC展開は大阪、東京を主体に具体化していくが、FC店は現在のところ東京地区にとどまっている。出店は前記の西蒲田店ほか、六本木、人形町店の三店だが、これはグルメ杵屋一〇〇%子会社の(株)ワールドグルメ(本社=大阪)が推進しており、とくに法人を対象にFC化と取り組んでいきたい考えだ。

(しま・こうたつ)

平成4年7月のオープン。丼丼亭FC第1号店(JR蒲田・工学院通り)。店舗面積15坪、客席数カウンター12席、テーブル10席

・社名/(株)グルメ杵屋・(株)ワールドグルメ

・ストアブランド/天丼専門店「丼丼亭」

・設立/昭和42年3月

・所在地/本社=大阪市住之江区北加賀屋三‐四‐七

・電話/06・683・1222

・資本金/五八億三七九八万七三六〇円

・代表取締役社長/椋本彦之(むくもと・ひこゆき)

・店舗数/直営二七店、FC三店(今年10月末現在)

・売上高/二〇億円(推定)

〈丼丼亭主力メニュー〉

・天丼…………四九〇円

・天丼大盛……五五〇円

・特得天丼……六八〇円

・賑わい丼(旬の材料) ………………四九〇円

・賑わい丼大盛五五〇円

・つけもの………五〇円

・みそ汁…………八〇円

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