FCビジネス点検 日本ケンタッキーフライドチキン 11種のスパイスが武器
フライドチキンはハンバーガー、ドーナツなどと並んで米国から上陸してきたファストフード商品だが、日本市場草創期においては「惣菜」(おかず)というイメージが強かった。
現在ではすでに日常生活に深く浸透しており、“食事メニュー”としての地位を確立している。
日本市場にチェーンビジネスとして、フライドチキンを紹介したのは日本ケンタッキー・フライド・チキンで、今年で二五年になる。
日本進出の直営第一号店はチキン(ブロイラー)の本場名古屋に出店した。一九七〇年11月のことだ。
フランチャイズ(FC)第一号店は一九七一年9月、江ノ島に出店した。その後、立地戦略を郊外から都心部主体に切り替えて、好調に出店を伸ばしていった。
早くも三年後の七三年12月には、トータルで一〇〇店舗をチェーン化することになった。
立地・店舗オペレーションの成功によって、日本の消費者にもフライドチキン商品が大きく受け入れられることを証明したわけだ。
KFCのチキン商品の最大の特色は、一一種のスパイスと一〇〇%の植物油のショートニングを使って、圧力釜でジューシーに仕上げる独特の製法にある。
創業者のカーネル・サンダースが開発した製法で、これがKFCチキンのうまさのヒミツである。
店舗数は九四年11月期決算で、直営三九七店、FC七五一店の計一一四八店。売上高は一三二〇億円。国内外食産業界では出店数、売上げともに有数の企業規模だ。
FC展開は法人対象におこなっている。投資コストが大きいこともあるが、経営基盤のある法人組織の方が事業展開に確実性があるし、チェーンビジネスとしての成功の可能性が大きいからだ。
事実、KFCのFCオーナー(フランチャイジー)には、一企業で一〇店以上から二〇~三〇店をサブチェーン化するというケースが多い。
(株)伊藤組(札幌市)、第一フードサービス(青森市)、(株)ミタニ(東京)、(株)チヨダコーポレーション(前橋市)、(株)田部(島根県)といった企業はその代表格だ。
FC加盟条件は、企業としての経営基盤があり、資本の結びつきばかりではなく、KFC創業者カーネル・サンダースの「手づくりの心」に賛同し、事業のパートナーとして店舗展開に取り組んでいける企業が不可欠としている。
そして、市街地においては、駅前や繁華街立地に四〇~五〇坪以上の物件、また、郊外立地(集客性のあるロケーション)においては二五〇~三〇〇坪以上の物件を所有する企業としており、簡単にはFC加盟できない。
これらの条件がクリアできれば、すでにFC展開は成功したも同然といえる。そういう視点においてはKFCのチェーン戦略は、当初から成功の可能性の強い加盟店を発掘しているといえ、本部がもつチェーンビジネスのリスクは極めて小さい。
“労せずして、成功を掴む”見事なFCシステムというほかない。
店舗出店は市街地のビルイン店舗の場合で総額約八三〇〇万円、郊外立地の場合は敷地三〇〇坪、建坪三五坪で約一億〇五〇〇万円。売上げのレベルは両立地ともに月商一〇〇〇万円前後。店舗利益は対売上げ比二二・五~一五・五%。高くも低くもない、外食ビジネスでは標準的な数字といえる。
加盟料は一店舗当たり二五〇万円、ロイヤルティー総売上高の四%、広告協議会費同四・五%、契約期間二年。
(しま・こうたつ)
FC展開は投資コストが大きいため、経営基盤が確立した「法人」を対象にしている。写真は日東フーズ(東京/日東製粉子会社)経営の成増店。同社は34店をサブチェーン化している
・企業名/日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)
・設立/昭和45年7月
・所在地/東京都渋谷区恵比寿南一‐一五‐一、JT恵比寿南ビル
・電話/03・3719・0231
・資本金/七二億九七五〇万円
・代表取締役社長/大河原毅
・店舗数/直営三九七店、FC七五一店、計一一四八店
・売上高/一三二〇億円(九四年11月期決算)
◎店舗開設費(初期投資)モデル(物件取得費を除く)
〈ビルインタイプ/店舗面積四〇坪の場合〉
・内装‐設備 約四八〇〇万円
・外装‐看板 約一〇〇〇万円
・厨房機器 約二五〇〇万円
・総額約八三〇〇万円
〈ドライブスルータイプ/敷地三〇〇坪、建坪三五坪の場合〉
・駆体‐内装‐設備 約七〇〇〇万円
・外構‐看板 約一五〇〇万円
・厨房機器 約二〇〇〇万円
・総額約一億〇五〇〇万円
(特別工事費/造成・排水等別途)