メニュートレンド:昼夜2業態で北摂マダムに人気 「蕎麦・鴨地鶏料理 鼓道」
大阪のベッドタウン、豊中市にオープンして1年を迎える「蕎麦・鴨地鶏料理 鼓道」は、昼は蕎麦、夜はコースと、昼夜で違う顔を見せる店。蕎麦と鴨のキーワードから、創作メニューも生み出し、単価は高くても納得できる、付加価値のある料理で人気を集めている。
●10年で6店舗目標 河内鴨や地鶏で付加価値あるメニュー提案
女性客7割という、一般的な蕎麦店とは逆転する男女比の「鼓道」。立地する豊中市は富裕層が多いエリアとして、近年、洗練された飲食店が増加している。
「大阪市内では競合店が多く、価格競争も熾烈。ゆったりした環境で、最高の素材で作る食事を提供したかった」と、代表の池田佳士郎さん。実家の蕎麦店で修業を積み、この地域ならではの店をとチャレンジした。オープンしてみると、昼夜ともにミセス同士での利用が多く、リピーターも増加中。価格は高めでも、その価値が認められていることを実感するという。
蕎麦店の場合、昼食需要が大きく、夜は売上げが伸びないのが一般的なパターン。同店は、昼は蕎麦専門店、夜は鴨や地鶏料理のコースを提供し、昼夜でメニューがガラリと変わる。いわば2業態で展開することで、それぞれのニーズの取り込みに成功している。
昼は、「せいろ蕎麦」(750円)他11品と季節の蕎麦2種類の、充実した蕎麦メニューがメーン。麺は、季節ごとに日本各地から蕎麦を選定し、店内で細・荒挽き(+50円)して、のど越しのよい2:8の配合で打つ。また、軟らかく臭みのない河内鴨の朝引きや丹波地鶏、大和肉鶏も取り入れて、素材にこだわった鶏料理を提供している。
蕎麦の一番人気は、「鴨せいろ」(1380円)で、鰹と昆布のだし+鴨がらのWスープの蕎麦だしがポイント。鴨肉に負けないパンチ力あるだしで、蕎麦のうまさも引きたてるのが狙いである。また、人気の創作メニューでは、「海老と木の子の豆乳蕎麦」(1050円)を用意。ベースのだしに豆乳をプラスして、コクと食べやすさを追求した、冬により需要が伸びる商品である。
さらに、同店の名物として注目度がアップしているのが、唯一の丼メニューである「極(きわみ)・地鶏親子丼」(1180円)。具材には、河内鴨のもも肉とつくね、2種類の地鶏のもも肉、大分産の卵を使用。トッピングされた黄身のオレンジ色が鮮やかで、ビジュアル的にも食欲がそそられる。全体のハーモニーを楽しみながら食する、高級感ある丼である。
夜は、鴨と地鶏の焼き物や鍋のコースを3種類用意(1人2800円~)。夜もミセスの女子会が多く、昼夜ともに北摂マダムのハートをつかんでいる。来年は、豊中で1店舗を出店予定で、目標は、10年以内での6店舗展開。「10年後に、名店として認識される、ゆるぎない店づくりを」と、将来を見据えて取り組んでいる。
●店舗情報
「蕎麦・鴨地鶏料理 鼓道」 経営=M・YIntentions/所在地=大阪府豊中市本町5-2-2 フォレストパーク1F/開業=2012年11月/営業時間=午前11時~午後3時、5時~10時半。第3月曜・火曜休/坪数・席数=約24坪、36席/1日来店客数/昼約60人、夜約30人/平均客単価=昼1000円、夜4000円/月商=約520万円
●愛用資材・食材:「ゲランドの塩・顆粒」
原産国=フランス 輸入者=アクアメール(東京都港区)
素材のおいしさ引き出す
だしの調味や、地鶏や野菜の焼き物、天ぷらのつけ塩など、幅広く使用しているのが、「ゲランドの塩」。ブルターニュ半島・ゲランドの海水から作られる同商品の中でも、あら塩を顆粒加工した使いやすいタイプを愛用。塩のうま味と適度な甘味があり、素材のおいしさを引き出しやすいのが魅力である。
規格=1kg