メニュートレンド:醤油を一滴も使わないそばつゆでブレーク 「そば助 本店」

2015.11.02 440号 02面
左の卓上調味料は手前から「かつを塩」「ニンニラたれ」「激辛ゴマ唐辛子」で、好みでそばに加えて味の変化を楽しむ。そばは国内産そば粉主体の十割そばを使用している

左の卓上調味料は手前から「かつを塩」「ニンニラたれ」「激辛ゴマ唐辛子」で、好みでそばに加えて味の変化を楽しむ。そばは国内産そば粉主体の十割そばを使用している

ランチのピークタイムでは店前のドラム缶で立ち食いする客も出る盛況ぶり。メニューが豊富ゆえ、週7回来店するヘビーユーザーも多い

ランチのピークタイムでは店前のドラム缶で立ち食いする客も出る盛況ぶり。メニューが豊富ゆえ、週7回来店するヘビーユーザーも多い

 そばつゆはだし汁に醤油ベースのかえしを加えたもの。誰もが疑うことなく数百年続いていた食習慣に「否」を唱え、醤油を一滴も使わない「究極の塩だし」で食すそばを提供する斬新なそば店が東京・稲荷町の「そば助」だ。一見すると寂れた大衆そば店という店構えで7坪・12席という小体ながら、1日180人という驚異的な集客力を発揮している。その商品力の裏側に迫った。

 ●究極の塩だしでそばを革新 つゆ違い30品のバリエーション実現

 「常々疑問だったのが“どの店に行ってもそばつゆが1種類しかないのはなぜか”ということ。味のバリエーションがあれば、もっと幅広いお客さまに楽しんでもらえるはずだと考えたのです」と、同店を運営するビー・スプリングス代表取締役の八木大助氏はコンセプトを説明。そのベーススープとして開発したのが、醤油を一滴も使わない「究極の塩だし(塩だし)」というわけだ。

 塩だしは昆布や鰹節などからとっただしに、厳選した数種類の海塩、みりんなどで作ったもの。甘味と塩味のバランスが絶妙で醤油を使わないため黄金色に澄んでいる。かけそば的な位置付けの「究極の塩だしそば」(380円)や「もりそば」(450円)などではそのまま使用。「溢れ出る魅惑のエキス・貝だしそば」では、注文を受けてから手鍋に塩だしとホタテの稚貝(現在はホタテ稚貝と東京湾産ホンビノス貝)を入れ、加熱して仕上げる。貝から出るだしが塩だしに加わって潮の風味を存分に楽しめる。同品のように食材や別に自家製している10種類を超えるたれやオイルと組み合わせることでバラエティー豊かな味のそばを実現。券売機にはそば単品だけで実に30品を揃えているというから驚きだ。

 多彩なのはメニューだけではない。卓上には「ニンニラたれ」「激辛ゴマ唐辛子」「かつを塩」「魔法のたれ」と自家製調味料が並び、好みの味を客自身がアレンジすることも可能。すべて自家製で、クセになるスパイシーさだ。「塩だしだから、どんな組み合わせも可能になるのです」と八木社長。

 塩だしのそばというなじみのない商品ゆえ、2013年4月のオープン当初は1日の売上げが1万円もいかずに苦しんだ。そこでポットと紙コップを置いて塩だしの無料試飲を実施。味を確認できたことで、入店をためらっていた近隣の住民や会社員が、どっと押し寄せるようになった。現在は1日11万円強を売る繁盛ぶりだ。

 本店オープンから2年半たつが、すでに直営2店、フランチャイズ(FC)2店を出店。「今後はチェーン化を進めて、全国300店体制を目指します」と八木社長は大きな目標を掲げている。

 ●店舗情報

 「そば助 本店」 所在地=東京都台東区松が谷1-4-6/開業=2013年4月/営業時間=午前10時~翌午前3時、無休/坪数・席数=7坪・12席/1日平均客数=180人/平均客単価=600円

 ●愛用資材・食材

 「泥亀」 大島酒造(長崎県西海市)

 夜はそばで一杯というちょい飲み客も多いことから「そば湯割り」を提供するために厳選した焼酎。原材料はサツマイモと米麹。サツマイモは長崎県産「紅あずま」を中心に紅系のみを厳選。アルコール度数は20℃。麦焼酎の黒ラベルもある。

 規格=720ml、1800ml(常温)

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