売れるメニューのヒント
◆オムライス&ハンバーグ
「手のうち」を美しく見せる技
ダイエー千里中央店/大阪府豊中市
312g/330円
内容:オムライス(玉ネギと鶏肉入りケチャップ味付けご飯、薄焼き卵、ケチャップ、パセリ)、ハンバーグ、デミグラスソース、スパゲッティ、マカロニサラダ、漬け物
見どころ:オムライスの卵焼きが面白い。大きく焼いた薄焼き卵をカットし、ライスの上にのせている。ただ覆いかぶせるのではなく、また、カットしていることを隠すのではなく、見せることでクロワッサンのような個性的なビジュアルにしている。人気のあるオムライスは売り場構成上マストな存在だが、全ての店で専門店のように巻いて作ることができるわけではない。そこに店ごとの工夫が見られ、いつも感心する。
実用性★★★ 生産性★★★ 経済性★★ オシャレ★★ 容器適正★★ ユニーク★★
◆冬の味盛弁当
焼き、炒め、煮、ゆでの四位一体
千里阪急/大阪府豊中市
430g/702円
内容:野菜炒め(キャベツ、玉ネギ、ニンジン、ピーマン)、ホタテ照焼き、鮭竜田揚げ、イカ煮、素揚げ(サト芋、シシトウ、カボチャ、赤ピーマン)、ニンジン煮、ゆでブロッコリー、卵焼き、漬け物、白飯
見どころ:一見、煮物が白飯にのっているように見えるが、食材は、炒め、揚げ、煮、ゆでとそれぞれ異なる調理を施され、それらをタレが1つにまとめ上げている。酢豚に近い発想の料理だ。調理法の数だけでなく、食材の数合わせもしているので、相当手間がかかっているはずだ。しかし、それを感じさせないさりげなさが心憎い。
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◆メーンを目立たせないメリット
彩り野菜と牛カルビの雑穀米プレート
ライフ西宮原店/大阪府大阪市淀川区
307g/429円
内容:牛カルビ、カボチャ、サツマ芋、ブロッコリー、カリフラワー、赤パプリカ、グリーンリーフ、十六穀米ご飯
見どころ:野菜、野菜と女性は言うが、実は肉が大好きだ。しかし、できれば美しくスマートに食べたい。男性が好みそうな内容と量の弁当を職場で食べるのは気が引けるし、買う時も多少は周りの目を気にする。こちらは、カルビ焼肉の弁当には見えず、ホットサラダのプレートのように見える。もし一般的な丼型の容器で、もっとカルビが目立つ盛り付けであったなら、全く同じ内容の食材をのせたとしても、この弁当ほど女性には売れないだろう。
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◆蟹入りあんかけチャーハン
カレーライス盛りでパラパラ感維持
チャイナ チューボー/大阪府豊中市
397g/605円
内容:チャーハン(豚肉、ニンジン、玉ネギ、卵など)、カニ入りあんかけ、ニラ
見どころ:中華料理店で人気のあんかけチャーハン。テイクアウト商品では、チャーハンが水分を吸収しない工夫がされて販売していることが多い。あんとチャーハンを分けて2段容器を使う、中央に丸く盛り付けて周りにあんを流し込むといった方法だ。意外にないのが、あんとチャーハンを半々に盛り付けるカレーライス盛り。シンプルだが、チャーハンの命ともいれるパラパラ感は維持できている。
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◆三色出し巻き弁当
参考にしたいご当地の食べ方、使い方
玉子丸/大阪府大阪市阿倍野区
434g/1,080円
内容:だし巻き卵(プレーン、青ネギ、紅ショウガ)、ウナギ蒲焼き、キンピラゴボウ、ヒジキ煮、鶏つくね、しば漬け、白飯など
見どころ:関西圏の方にはピンとこないかもしれないが、だし巻き卵をメーンにした弁当というだけで、関東圏の筆者には新鮮に映る。しかも、だし巻き卵に紅ショウガが入っているところと、ウナギの蒲焼きを合わせる点は関西らしいなと感じる。だし巻き卵もウナギも日本中どこの弁当にも使われる定番物なのだから、日本各地の食べ方、使い方を参考にすれば、地元の人にも受け入れられやすい形で、レパートリーを増やせるはずだ。
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●小さいサイズのトリオ丼
(1)マーボー3点丼(317g/330円)
(2)中華3点丼(B)(350g/330円)
ダイエー千里中央店/大阪府豊中市
内容:
(1)麻婆ナス(ナス、豚ミンチ、ピーマン、玉ネギなど)、麻婆豆腐(豆腐、豚ミンチなど)、麻婆春雨(春雨、豚ミンチ、ニンジン、ニラなど)、白飯
(2)キクラゲ炒め物(キクラゲ、卵、豚肉、タケノコ、ニンジン、ニラなど)、チンジャオロース(豚肉、ピーマン、タケノコ、卵など)麻婆豆腐(豆腐、豚ミンチなど)、白飯
見どころ:ちょうど片手に収まる程度の小さい容器の弁当だが、中華惣菜を3種類ものせている。1つは麻婆と名の付く惣菜3種、もう1つは人気の中華惣菜3種だ。ダブル丼、トリプル丼が珍しいわけではないが、「小さいサイズの容器なのに」というところに価値がある。このサイズの丼物がちょうど良い女性やお年寄りも、もう一品として購入するガッツリ食べたい人も、とてもお得なハッピーな気分になれる。
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◆かやくご飯と肉じゃが弁当
エア彼女を妄想しながら楽しく食事
クックデリ御膳/府大阪市阿倍野区
421g/380円
内容:肉じゃが(牛肉、ジャガ芋、ニンジン、玉ネギ、糸コンニャク、厚焼き卵、竹輪磯辺揚げ、かやくご飯(ゴボウ、ニンジン、コンニャク、油揚げ、シイタケ、米など)、さくら漬け
見どころ:男性ウケの良い料理ベスト3に入るであろう肉じゃがだが、それをメーンに据える弁当は少ない。副菜のイメージではあるが、肉じゃがを構成する食材は、カレーとほぼ同じ。牛肉をちょっと目立つようにすれば、じゅうぶんに主役を張ることができる。そこに、かやくご飯を合わせ、料理上手な彼女が作ってくれたような気の利いた弁当になっている。エア彼女、エア奥さんを妄想しながら楽しく1人飯ができる。
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●新しい丼メニューを提案
(1)KaKeごはん もちもち湯葉 海老と菜の花の和風あん(434g/699円)
(2)KaKeごはん 鱈と冬野菜の和風あん(471g/699円)
今日のごはん 和saiの国/大阪府大阪市北区
内容:
(1)味付き湯葉、エビ、菜の花、エリンギ、スクランブルエッグ、和風あんかけ、だしご飯
(2)タラ竜田揚げ、カブ、ネギ、水菜、和風あんかけ、トウガラシ、だしご飯
見どころ:丼スタイルの商品を「KaKeごはん」として販売している。丼系商品は、カツ丼系、天丼系などの定番や、麻婆丼など認知度の高い既存の料理をご飯にかけているものがほとんどだ。この「KaKeごはん」シリーズは、和食をベースにしながら、なじみ深い食材を使い、ご飯の上にのせる新しい料理を考案。丼物の可能性を広げている。
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◆玉子丸弁当
立体的な斜めカットで存在感
玉子丸/大阪府大阪市阿倍野区
484g/540円
内容:だし巻き卵、サバ塩焼き、大根おろし、キュウリの酢の物、レンコンじゃこ炒め、小梅、ごま、白飯など
見どころ:だし巻き卵1/2本がデンと据えてある弁当。小分けにカットしないことで存在感が増している。切り口を斜めカットにし、容器のサイズにピッタリ納めつつ、立体的に見せている。切らずに箸でそのまま持ち上げて、パクっとかぶりつき、歯形を付けたくなる。ダシとともに卵料理専門店らしさがにじみ出ている商品だ。
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◆だし巻と塩めしおにぎりセット
真剣勝負を挑まれ、受けて立つ
ライフ西宮原店/大阪府大阪市淀川区
291g/267円
内容:だし巻き卵、さくら漬け、白ごま、黒ごま、塩むすび
見どころ:「このセットだけで必ずや満足させます!」という作り手の意気込みと自信が伝わってきて迫力を感じる。1つだけ断面を見せて「美味しそうでしょ」とアピールしてくるだし巻き卵、海苔や具材でごまかしていないにぎり飯。ちらりと見える緑色のバランと漬け物の配色バランスの良さ…シンプルながら計算された商品であることもうかがえる。相手は手の内を見せながら、真っ向から真剣勝負を挑んできている。「よし!受けて立とう」と、会ったこともない作り手と、この商品を通して会話をしてしまう。
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◆オムライスと唐揚げのイタリアン
線がけマヨで唐揚げがフリットに
マッジョデリ/大阪府大阪市阿倍野区
437g/798円
内容:オムライス、デミグラスソース、赤ピーマン、インゲン、マルゲリータピザ、明太子パスタ、海苔、鶏唐揚げ、マヨネーズ、パセリ、グリーンリーフなど
見どころ:スクランブルエッグ状の卵がのったフワトロ系オムライスが入っている弁当。つゆだく気味のデミグラスソースが特徴的でキャッチーだ。イタリアン惣菜を中心とした洋風デリの店なので、ピザやパスタも盛り込まれている。そのなかで鶏唐揚げだけが浮いてしまいそうだが、線がけしたマヨネーズとパセリのみじん切りが「唐揚げ→フリット」に見せている。
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◆がっつり満腹海苔弁当
いきなりガッツリいけちゃう
ダイエー千里中央店/大阪府豊中市
403g/398円
内容:コロッケ、白身魚フライ、タルタルソース、ハムカツ、ソース、竹輪磯辺天、ハンバーグ、ポテトサラダ、漬け物、海苔、白飯
見どころ:見ているだけで満腹になりそうな弁当。ソースやタルタルソースの小袋を付属させず、揚げ物に直接付けて盛り付けている。腹ペコの時は、小袋の封を切って、かける手間さえ惜しい!ソースで汚れた手を拭く時間も惜しい!蓋を開けたら、いきないガツガツ食べられる質実剛健なところが魅力的。もちろん小袋類のコストが抑えられ、その分を客の満腹のために使える。
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◆ウインナーロール
ワンハンド仕様のオムライス
イベリコ屋/大阪府大阪市阿倍野区
174g/280円
内容:豚肉100%ウインナー、厚焼き卵、グリーンリーフ、海苔、ケチャップ、ケチャップライス
見どころ:使われている食材が、コンビニでよく見かける「ちょっとしたおかず&おにぎりのセット」とほぼ同じ。こちらは、ご飯とおかずが同時に口に運べるワンハンド仕様で、より手軽になっている。そして、味わいは、これまた同じような食材を使うオムライスをワンハンドで食べているように感じられてくる。作業しながらや急いでいる時のランチにピッタリ。
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◆蟹ごはんと彩々膳
見えない惣菜が信頼関係を物語る
なだ万厨房/大阪府豊中市
429g/1,647円
内容:カニご飯、煮物(カボチャ、コンニャク、ニンジン、フキ、タケノコ)、鶏つくね、卵焼き、大根、レンコンつみれ揚げ、合鴨燻製、昆布巻き、焼きサツマ芋、ギンナン、インゲンなど
見どころ:なんとも豪華な2段弁当である。上段はカニご飯、見えない下段に惣菜類という順番で重ねられていた。惣菜類は、1つ1つ丁寧な仕事で仕上げられ、美しく盛り付けられているが、それは当然と言わんばかり。あくまでも主役はカニご飯だとアピールしている。安い弁当ではない。惣菜が見えなくても「この店なら安心できる。価値がある」と客に思わせるだけの信頼関係が構築済みなのだろう。
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(メニュー取材日 2015年2月3日~2015年7月30日)