アポなし!新業態チェック(104)「ゆめあん食堂」調布駅北口店
●和食FR「夢庵」ベースの小型店 豊富なメニュー数でランチ対応
ファミリーレストラン(FR)大手のすかいらーくが、和食FR「夢庵」をベースにした小型店の新業態「ゆめあん食堂」をオープンした。同店が出店したのは、東京・調布市の京王線調布駅北口に開業した新ビルの1階。
同店は「Sガスト」と同様、既存の郊外型FRからピックアップしたメニューを中心に、都心部の繁華街向けに小型化した店舗で提供するクイックレストランだ。
料理メニューは大きく、「うどん」「二八そば」「丼セット」「定食」「おつまみ」という5つのカテゴリーに分類され、トビウオからだし汁を取った“あご出汁”や、揚げたての天ぷらを売り物にしている。
うどん・そばのメニューには、「あご出汁うどん」「二八せいろそば」(各480円)、「ごぼう天うどん」(690円)、「あさりと野菜のタンメンうどん」(780円)、「肉そば」(730円)などがあり、丼セットは「天丼と小うどん」(790円)のように、天丼、ねぎとろ丼、海鮮丼と麺類がセットになっている。定食は、「お惣菜定食」(830円)、「天ぷら盛合わせ定食」(850円)、「生姜焼き定食」(880円)、「さわら西京焼き定食」(910円)などメーンの異なる10種類、どれもメーン料理のみ単品でも注文できる。ほかに、「熱々玉子焼き」(180円)といったおつまみやアルコール類も用意し、弁当スタイルのテークアウトメニューもある。
店内は、ナチュラルな木目調が中心の定食居酒屋風デザイン。カウンター席や2人席などもあり、ひとりでも気兼ねなく利用できる。久々に今後の展開が注目される新業態だ。
★けんじの評価
京王線の調布駅は、首都圏の主要駅としては近年珍しい地上駅として長く存続していた。かなり以前から高架化と地下化とのあいだで議論があったのだが、最終的に2012年の夏に地下駅としてリニューアルされたのだ。これにより、それまで線路で分断されていた駅南北の商圏がつながり、駅周辺の商業施設や店舗にとっては大きなメリットが生まれている。特に、同駅の南側には官庁や大手企業、病院などが多く存在しており、ランチ需要に対応する同店のような業態にとっては立地のランクが大きく跳ね上がった格好だ。
同店は、うどん・そばメニューを強化した定食屋というスタイルだが、50席程度の規模としてはメニュー数も多く、近隣オフィス客のランチ利用としてはかなり使い勝手が良さそうだ。臨店した際にはランチタイムのピークではなかったが、女性を含む多くの来店客でにぎわっていた。
これだけのメニューを出しているのだから、厨房はかなりの広さがあるのだろう。その中で客席のテーブルサイズを確保するためか、通路幅はやや狭め。ピーク時には、レジ周りがかなり混雑すると予測する。会計を済ませ、店を出て少し驚いた。同店の向かいには、「大戸屋」と「なか卯」が出店しているではないか。まさに、この業態にぴったりのロケーションなのだ。
洋食の「Sガスト」は現在、30店舗ほどとなっているようだが、高齢化に向かう中でシニア客の増加などを考えると、和食の同店が今後、大きく飛躍する可能性は高いと感じる。
しかし、いつも思うが同社はもう少しロゴマークにコストをかけてもよいのではないだろうか。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
●鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
開業=2015年9月25日/所在地=東京都調布市小島町1-36-16、グレーシア調布1階