メニュートレンド:ご当地焼とりが結集 七つの名店の味を忠実に
焼とり店の「とり」の文字に平仮名が使われる理由をご存じだろうか。それは焼とりの使用肉が「鶏肉」とは限らないからだ。地域によって串に刺す肉の部位はさまざまだし、鶏、豚、牛、そして馬を使う地域も存在する。そういった焼とりの多様性に着目し、日本の7地域の焼とりを1店に結集させたのが東京・大手町の「全や連総本店 TOKYO」だ。
●焼とりの楽しさ倍増
新規客がまず注文する同店の看板商品が「ご当地食べ比べセット(7本)」だ。「オーナー達が全国やきとり連絡協議会の理事をしていることから、都心に焼とりのテーマパークをつくろうというコンセプトで生まれたメニューなんです」と鈴木芳生料理長は解説する。
七つのご当地焼きとりは次のとおり。料理写真手前から時計回りに、豚のコメカミ肉を串焼きして辛味噌をつけて食べる埼玉・東松山「ひびき」の特撰かしら。伊達鶏のもも肉をぜいたくに使用した福島・福島市「鳥安」の鶏ねぎま。豚の肩ロースを串焼きし洋辛子をつけて食べる北海道・室蘭「一平」の豚精肉。鶏むねやモツのいろいろな部位を1串に刺して焼く同・美唄「たつみ」のもつ串。豚のシロを串焼きしてユズコショウを薬味につけて食べる福岡・久留米「鉄砲」のダルム。長州どりなどの手羽元を串焼きしてガーリックパウダーをかけて食べる山口・長門「ちくぜん」の手羽元。串に刺さず鉄板焼きスタイルで焼き上げて甘口の醤油だれをつけて食べる愛媛・今治「まる屋」の皮。
このようにただご当地焼とりを商品化しただけでなく、各地の名店の味を一同に集めている点が同店の個性を際立たせている。たれも本店から取り寄せて使用して味の再現性も高めている。食べ比べセットの他、単品でも各名店の焼とりを5~8品ずつラインアップしており、食べ比べセットで好みの焼とりを見つけて、次のオーダーから単品注文する客が多い。
またサイドメニューでも福島名物の「にしん山椒漬け」、長門名物の「仙崎かまぼこ」(各626円)などご当地メニューを採り入れている点も見逃せない。
ユニークなコンセプトが奏功して東京・大手町のオフィス街のど真ん中、土・日は休みの企業も多いビジネスビルの地下2階ながら、平日だけでなく週末もカップルや子連れファミリー客の集客に成功している。
同店のヒットを受けて、2015年7月には埼玉・守谷サービスエリア内に姉妹店「全国ご当地やきとり 一本列島」をオープン。「全や連とともに多店化してやきとりのブランド向上に貢献したい」と鈴木料理長は展望を語る。
●店舗情報
「全や連総本店TOKYO」 所在地=東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル地下2階/開業=2013年3月/営業時間=午前11時30分~午後2時、5時~11時、土・日・祝は正午~午後10時、不定休/席数=229席/1日平均客数=平日350人、週末300人/平均客単価=昼900円、夜3000円
●愛用資材・食材
「みそだれ 秘伝 110g」 ひびき(埼玉県川越市)
かしらの薬味の定番 汎用性も高い
辛味噌をつけて食べるスタイルの埼玉・東松山の名物みそだれやきとり「かしら」に使用。お通しに提供するキャベツの付けだれや、もつ煮の味付けにも使用している。同品は2008年からモンドセレクション最高金賞の連続受賞記録を更新中と、世界的にも評価が高い。
規格=110g