飲食業5団体、受動喫煙防止強化に対する緊急集会 「分煙先進国」目指せ

2017.02.06 456号 05面
定員を大幅に上回る外食関係者が参加。受動喫煙対策強化への関心の高さがうかがえた

定員を大幅に上回る外食関係者が参加。受動喫煙対策強化への関心の高さがうかがえた

 「受動喫煙防止対策の推進」を大前提とした上で、「サービス業に対して一律に原則建物内禁煙を課すことなく、これまで取り組んできた業界の自主的な取組みについて一層の理解と支援と賛同を求める!」と、飲食業5団体(日本フードサービス協会、全国生活衛生同業組合中央会、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、大阪外食産業協会)は、厚生労働省が2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて検討を進めている「受動喫煙防止対策強化・案」に対する緊急集会を東京都内でこのほど開催し、冒頭の決議を満場一致で決めた。会場には定員の300席を大幅に上回る約400人の飲食関係者が参加した。

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 厚生労働省の「受動喫煙防止対策強化(たたき台)」(表)では、施設の管理者や喫煙者本人に対し、罰則の適用を検討するという。

 飲食業界5団体では、「飲食店はお客さまが自分の嗜好(しこう)に合わせて自由に選択するもので、(公共施設と)同じ次元での規制はふさわしくない」「店舗において一律に喫煙室を設置することは、スペースの確保や設置費用などの面で困難」「すでに分煙環境の整備を進め、2020年に向けて海外の非喫煙者・喫煙者双方ともに気持ちよく共存できるよう取り組んでいる」「店舗の禁煙・分煙・喫煙環境についてステッカーなどの表示によりお客さまに理解を求めており、今後こうした取組みを一層進めていく」として「分煙先進国ジャパン」を目指すべきとした。

 「受動喫煙防止対策」をオリンピック・パラリンピック開催国水準に、というのが厚生労働省の考え。海外では屋内は禁煙だが、屋外は喫煙可能。しかし、日本は屋外の禁煙が先行し、屋内も禁煙となればどこで吸うのかとなる。日本の外食店舗数は約62万店で、そのうちチェーン店は20%程度。80%のほとんどが個人経営であり、客の嗜好性に対応する多様性が外食産業を支えている。飲食店従事者は423万人で、全産業の約7%を占める。今回の規制強化案が通ると約3500億~4000億円の市場減とも試算されており、廃業に追い込まれる店舗も少なくなく、多様性という外食の魅力が失われる可能性が高い。

 緊急集会には衆議院議員の石破茂、上田勇、穴見陽一の3氏も登壇。石破氏は「タバコが嫌いな方に、受動喫煙を容認する社会は許されない。だが、一律に禁煙というのはあまりにも乱暴な考え方。人に迷惑をかけずに、それぞれの楽しみ・価値を楽しめるような仕組みを実現することが知恵の出しどころ」。上田氏は「個性のある飲食店は、地域の外食産業には重要。そういうお店の経営に混乱を来すようなことがあってはならない。例外措置も必要」。穴見氏は「ファミリーレストランで完全禁煙の店舗は、分煙の店舗より2割売上げが少なかったという例もある。これは経営者にとって生死に関わる問題。現実に寄り添った形で受動喫煙防止に取り組むべき」と、それぞれの立場で受動喫煙防止策への意見を語った。

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