飲食業倒産、17年762件 仕入れ高騰と人手不足
2017年(1~12月)の飲食業の倒産は速報値で762件(前年比19.2%増、前年639件)に達し、3年ぶりに750件を上回った。負債総額は416億6500万円(同23.7%増)となり、2年連続で増加した。負債1億円以上5億円未満の企業倒産が4割増と、負債を押し上げた。全体では、負債1億円未満の小・零細規模が88.8%を占めた。仕入れ価格の高騰や人手不足による人件費増加などのコストアップが影響し、個人消費の鈍さが倒産増加に拍車をかけたとみられる。
東京商工リサーチが集計・分析し、このほど調査結果を発表した。調査対象の「飲食業」は食堂・レストラン、専門料理店、居酒屋などの酒場・ビヤホール、喫茶店、宅配飲食サービス業、持ち帰り飲食サービス業などを含む。
17年の主な大型倒産は、東京都内を中心にステーキ店「KENNEDY」を27店舗展開していたステークス(東京・負債13億8000万円)、ピザ専門店「NAPOLI」などを展開していた遠藤商事・Holdings.(東京・同12億7000万円)、宅配ピザ店「10.4(テン・フォー)」を展開していたオーディンフーズ(北海道・同7億円)など。
業種別では、最多が日本料理・中華料理・フランス料理店などを含む「専門料理店」の203件(前年比13.4%増、前年179件)。「食堂・レストラン」が200件(同34.2%増、同149件)、居酒屋などを含む「酒場・ビヤホール」が115件(同35.2%増、同85件)、「喫茶店」が59件(同34%増、同44件)とそれぞれ増加が目立った。
この他、宅配ピザ店などを含む「宅配飲食サービス業」は42件(同7.6%増、同39件)、持ち帰り弁当店などの「持ち帰り飲食サービス業」は23件(同27.7%増、同18件)だった。
原因別では、「販売不振」の618件(同17.7%増、同525件)が最多で、全体の約8割を占めた。「事業上の失敗」が41件(同46.4%増、同28件)、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が34件(同17%減、同41件)で続いた。
形態別では、事業消滅型の破産が708件(同20%増、同590件)と全体の9割を占め、厳しい経営環境を反映した。また、再建型の民事再生法適用は23件(前年21件)、取引停止処分が18件(同18件)、特別清算は11件(同4件)だった。