アポなし!新業態チェック(133)「AVOCADOOO(アボカドゥー)」
●アボカド料理専門店を出店 クリエイト・レストランツのグループ企業
クリエイト・レストランツ・ホールディングスのグループ会社グルメブランズカンパニーが東京・恵比寿にアボカド料理の専門店「AVOCADOOO(アボカドゥー)」を開業した。
同店は、同社が2016年9月に出店した複合型の飲食施設「EBISU FOOD HALL(エビスフードホール)」内の1店舗。米国ニューヨークで人気のフードホール形式をいち早く取り入れ、四つの店舗と110席を超える共通の客席を持つ進化型のフードコートだ。
同店は、栄養価が豊富で「食べる美容液」ともいわれるアボカドを使った料理を、イートインとテークアウトで提供するカウンター販売の店舗。同店のアボカド料理は、トーストの上にアボカドとさまざまなトッピングをのせた、アボカドトーストが中心となる。フムスをのせた「ザ ハートビート ローズ」やチキンとカリフラワーの「アボスパイシーチキン」、サーモンとサワークリームの「アボサーモンクリーム」、ベーコンとポーチドエッグの「アボカホップ」(各850円・税抜き)など、個性的でフォトジェニックなアボカドトーストが並ぶ。他にも数種類の「アボカドスムージー」(580円~)や、アボカドを使った料理の定番「ワカモレ」などを用意する。
同施設はフードコートと同じように、各店舗のカウンターで商品を購入し、共有の客席を自由に使って飲食する。施設内にはそれぞれ、自家焙煎のコーヒー、ビールやワインなどアルコール類を販売する店舗があり、飲料はそちらで調達できる。一人客からグループまで、さまざまな使い方が可能な店舗だ。
★けんじの評価 恵比寿のフードホール施設内
かつては商業施設を中心に店舗展開を行ってきたクリエイト・レストランツ・ホールディングスだが、5~6年ほど前からM&AによりSFPダイニングやイートウォークなどを次々と傘下に収め、路面店や郊外店も含めた多角的なブランド展開を進めている。
「マルチブランド・マルチロケーション」という戦略で、商業施設デベロッパーのニーズに応えるかたちで急速な店舗展開を行ってきた同社は、それまで核になる強力な業態ブランドを持たなかった。M&Aにより既成のそうしたブランドを確保し、同時にブランド開発のノウハウを獲得したことで、今回の店舗を出店したグルメブランズカンパニーのようなグループ企業による、自社内でのブランド開発を進める段階に達したということか。
フードホールは、数年前からニューヨークでトレンドとなっているフード店舗の集積スタイルだ。2010年にオープンした「イータリー」が起爆剤となり、その後同様の施設が続々とオープンした。フードホールの特徴は、評価の高い独立店や小規模チェーンが中心であることと、飲食だけではなく食物販も含めた店舗構成になっていることだ。そういう基準からすると、同社の施設がフードホールと呼べるかどうかは微妙だが、従来型のフードコートとは一線を画すという意味では、フードホールのスタイルを踏襲したものだといえるだろう。
あまりにも早すぎたためフードホールとは呼ばれていないが、同社が2005年に開業した地下鉄表参道駅のフードコートも、今回の施設に近い業態だ。時代を先取りしたといってもいいのかもしれない。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「AVOCADOOO(アボカドゥー)」
開業=2018年5月30日/所在地=東京都渋谷区恵比寿南1-1-9 岩徳ビル1階(「EBISU FOOD HALL」内)
編集協力:株式会社イートワークス(http://www.eatworks.com/)