アポなし!新業態チェック(139)「元祖 変わりかつめし専門店 かつゑもん」
●きちりが初めてのフードコート業態 25種類のバリエーションがある「かつめし」
「KICHIRI」や「いしがまやハンバーグ」など、多くの業態を全国に展開するきちりが、昨年11月、東京臨海副都心の商業施設に新業態「元祖 変わりかつめし専門店 かつゑもん」を出店した。同社としては初めてのフードコート業態だ。
メニューは、カツ煮とご飯を別々に提供する「かつめし」というスタイル。店名にある「変わりかつめし」とは、このカツ煮の味にさまざまなバリエーションがあることからきている。和風のものだけではなく、トマトソースやカレー、チゲ、デミソースなどを取り揃え、それぞれの風味ごとに、さらにチーズを加えたり卵を落したりというオプションがある。具体的には、「玉子とじかつめし」(680円)を基本として、それに生卵を落した「月見玉子とじかつめし」やチーズをのせた「チーズ玉子とじかつめし」(各780円)、その両方を加えた「チーズ月見玉子とじかつめし」(880円)がある、という具合だ。卵でとじる代わりにトマトソースやカレーなどを使った「トマトかつめし」や「カレーかつめし」(各780円)も同様。他にも味噌やタルタル南蛮、大根おろしといった「和風」アイテムがあり、組み合わせによって25種類のメニューが並ぶ。
カツ煮は親子鍋で煮込んだものがそのまま提供され、ご飯は蓋付きの丼に入れられている。標準のメニューではすべてに漬物が添えられるが、他にプラス100円で味噌汁を付けることもできる。350円で、カツを1枚追加することも可能だ。
同社が初挑戦するフードコート展開だけに、業界の注目が集まっている。
★けんじの評価 訪日観光客が多数訪れる商業施設に出店
同店が入居するのは三井不動産グループの商業施設「ダイバーシティ東京プラザ」の2階にあるフードコートだ。同施設は、ゆりかもめの台場駅から約5分、りんかい線の東京テレポート駅から約3分という立地にある。東京臨海副都心は、もうずいぶん前から東京の観光地の一つとして海外からの観光客にも人気が高い。特にアジアからの訪日客が急増している近年は、商業施設の客層にも変化が現れているようだ。ゆりかもめ青海駅に隣接する商業施設「ヴィーナスフォート」が外国人観光客の名所となっていることはすでに有名だが、「ダイバーシティ東京プラザ」も現在は、主にアジア地域からの観光客で大にぎわいだ。平日でも海外から訪れた人たちの多さは目立つし、週末はそれが大幅にふくれ上がる。
同店は、前述のようにメニューのアイテム数がとても多い。食器の選定なども含めて、フードコート業態としてはぜいたくな仕様だが、一つ一つ調理が必要であり、洗い物の数も増える。オペレーション的にはかなり負担が大きそうだ。独立テナントの飲食店ならば客席のキャパシティ以上には入店できないが、フードコートでは共用客席の利用者が交代で注文カウンターを訪れる。それを止めることはできないのだ。
商業施設のフードコートは、観光客が訪れない郊外であっても、週末は空席がなくなるほど混雑する施設も少なくない。約880席ある同施設の客席が、不慣れな外国人観光客でごった返す週末のピーク時間帯に、この店がどのような状態になるのだろうと考えると、思わず店舗のスタッフにエールを送りたくなってしまうのだ。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「元祖 変わりかつめし専門店 かつゑもん」
開業=2018年11月2日/所在地=東京都江東区青海1-1-10 ダイバーシティ東京プラザ2階フードコート内