メニュートレンド:食券制セルフのフランス料理店 サンダルで楽しめる爆安フレンチ!

2020.01.06 491号 24面
(左奥)ウニのムース 800円(税込み)、(右奥)あさりのワイン蒸し 800円(税込み)、(手前)牛フィレのステーキフォアグラのせ 1,650円(税込み)

(左奥)ウニのムース 800円(税込み)、(右奥)あさりのワイン蒸し 800円(税込み)、(手前)牛フィレのステーキフォアグラのせ 1,650円(税込み)

(左)券売機付近に貼られたメニューの数々。その破格の値段に驚かされる、(右)よく見かけるおなじみの券売機だが、ボタンには本格フレンチのメニュー名が並ぶ

(左)券売機付近に貼られたメニューの数々。その破格の値段に驚かされる、(右)よく見かけるおなじみの券売機だが、ボタンには本格フレンチのメニュー名が並ぶ

年季の入ったアパートをリノベーションした店内

年季の入ったアパートをリノベーションした店内

 人手不足の昨今、食券制やセルフ方式などのシンプルなシステムを採用する店が増えているが、ラーメンやそば、牛丼などの庶民的グルメ店がほとんど。そんな中、“庶民的”とは対称的な立ち位置にあるフランス料理店でありながら、食券制で料理提供も食器片付けもセルフ方式というのが、東京・二子玉川の「トキオプラージュ・ルナティック」だ。フレンチの高い敷居を、サンダルでまたげる高さにまで下げることに成功した店である。

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 「トキオプラージュ・ルナティック」は、6年前に食券制、セルフ方式を採用した。当時は「俺のフレンチ」が大きな話題を呼んでおり、「俺のフレンチのように、高級食材を使ったフレンチを安く提供する店にリニューアルしたかった。でも、立食はお客さまからすると、キツイ(笑)。立食ではなく、サービス面を極力軽くしてコストを抑えよう、と考えました」と、阿部利幹店長は言う。

 システムは、券売機でお客が食券を購入。料理が出来上がったら食券の番号が呼ばれ、お客は厨房の受け渡し口まで料理を取りに行く。食器の片付けも、学生食堂のようなセルフだ。このシステムにしたことで、それまでは3~4人のホールスタッフが必要だったのが、現在、ホールスタッフは1人。あとは料理長と調理スタッフ1~2人で店を運営している。

 “本格フレンチを普段着感覚で味わえる店”を目指し、特に「“初めてのフレンチ”を楽しむような場でありたいですね」と、阿部店長。「初めてフレンチを食べるのなら、複雑で凝った料理ではなく、やっぱり聞いたことのある高級食材を使った、分かりやすいフランス料理を食べたいでしょう」(阿部店長)として、フォアグラ、キャビア、牛ヒレ肉などの“王道の高級食材”を使ったメニューを揃えた。価格帯は最も高額の料理でも1650円と、フレンチとしては驚愕といえる破格値だ。

 客層は、口コミで評判を聞いたお客を中心に実に多彩。駅から少し離れた川沿いという場所柄、サンダル履きの自転車で訪れる客や、散歩途中のペット同伴客なども多い。食券制が「ドレスコードなし、ふらっと立ち寄れるフランス料理店」の格好のアピールにもなっているのだ。

 店が目指すイメージそのままに、「お小遣いをためて、初めてフランス料理を食べに来た」という高校生グループが来店する例もあり、「そういうお客さまは本当にうれしいですね」と、阿部店長は笑顔で話した。

 ●店舗情報

 「トキオプラージュ・ルナティック」 経営=パラディラボ/店舗所在地=東京都世田谷区玉川1-1-4/開業=2004年/席数=50席、テラス70席/営業時間=11時~23時、日・祝11時~22時。年末年始休/平均客単価=2500~3000円/1日平均集客数=60~70人

 ●愛用資材・食材

 「GRAND BATEAU」 輸入者=ファインズ(東京都渋谷区)

 ボルドーの深みをソースに

 人気ナンバーワンの「牛フィレのステーキフォアグラのせ」のソースに使用している赤ワイン。同品をたっぷり2本加えたフォンドボーで作るソースは、一流フレンチの味わいだ。「牛フィレ肉のソースには、やはりボルドーワインのコクと深みがほしい。同品はバランスのよいワインですよ」と、阿部店長は言う。

 規格=750ml

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