海外通信 外食ビジネスの新発想(29)ハーバード大学のギリシャ料理ファストカジュアル
「チキン・プレート」(13$59¢)作りたてのピタ、レモンとオレンジでマリネした鶏のグリル、レモン・ポテト、グリーク・サラダ、ザジキが盛られている
「ニコピタ」(9$79¢) レモンとオレガノでマリネした鶏もも肉、トマトにグリーン、ポテトフライにザジキをかけてピタで巻いたもの。同店の一番人気メニュー
(左)「グリルのミックス」(29$50¢)、(右)「ビレッジ・サラダ」(9$)
ルクマデスと呼ばれるギリシャ風ドーナツ。6$39¢。蜂蜜+シナモン、サワーチェリー、ヌッテラ・バクラバを砕いたもの、プレーンの4種がある
アペタイザー、サラダ、串焼きなど、同店のメニューの数々
自然光を取り入れた明るい店内。セルフサービスのファストカジュアルだ
●シンプル、ヘルシー、ナチュラルな料理をリーズナブルに ビアード賞受賞シェフのストリートフード
かの超一流名門大学、ハーバードのキャンパス内にある「サロニキ・グリーク」。西洋哲学の発祥地、ギリシャの料理を頭脳明晰な学生たちに提供している。ギリシャ料理は、ユネスコによって無形文化遺産に指定された地中海料理に含まれ、オリーブオイルや野菜、ヨーグルト、魚介類を多く使いヘルシーだとされている。
店のコンセプトは「フィロジニア」。ギリシャ語で「おもてなし」という意味だ。ヘルシーでおいしい料理を食べてもらって、よい思い出をつくってもらうことを店のモットーにしている。
シェフは、3人の共同経営者の一人、ジョディ・アダムズさん。外食産業界のアカデミー賞、ビアード財団の賞を2回受賞しているというお墨付きのシェフで、以前は著名な高級ギリシャ料理店を切り盛りしていた。同店では、学生たちの懐にやさしい価格で、シンプル、ナチュラル、フレッシュなギリシャのストリートフード・メニューを展開しているが、これは、アメリカの外食産業のトレンドともいえる。伝統的な「肉とジャガイモ」料理から、より軽く、よりクリーンで、よりヘルシー、そしてエスニックな料理へと嗜好(しこう)が移行している。
同店では、シトラス(柑橘類)で味を引き締めたメカジキのスブラキ(串焼き)や鉄板で焼いたスパナコピタ(ホウレンソウのパイ)など、一般のアメリカ人にも知られるようになったギリシャ料理をリーズナブルに食べられる。
メインの料理メニューとしては、ピタのサンドイッチ、プレート、スブラキ、サラダがある。ほかに、メゼ(アペタイザー)やデザートもある。
メインの中でも、ピタで具材をくるんだサンドイッチは代表格だ。レモンとオレガノでマリネートした鶏もも肉のグリルを巻いたニコピタは、開店1日目からの人気メニュー。ほかに、羊肉のミートボールや、蜂蜜とガーリックでマリネートして蒸し煮にした豚肩肉という非ベジタリアンの選択肢があるが、一方、最近人気沸騰中の代用肉、インポッシブル・ミートのケバブ、ズッキーニとフェタチーズのフリッター、ローストした野菜とハルミチーズというベジタリアン用の選択肢もあり、計6種のピタサンドイッチをメニューに載せている。
プレートは定食ともいうべき存在で、主菜はどちらもピタサンドイッチの具材と共通のそれぞれ6種類。これにご飯やポテトフライ、サラダなどが添えられている。具材を共通させてメニューのバリエーション化を図る、なかなか賢明なメニュー構成だ。ちなみに、ギリシャ風ポテトフライはアイダホポテトを揚げてから、オレガノ、塩、ミチトラ・チーズをまぶしたもの。
同店では、ピタを一から作っている。工場生産のものを買えば、材料を管理できないが、自家製であれば、質のよい材料を確保しておいしく仕立てることができる。作りたてのピタは、ソフトでおいしく何ものにも代えがたい。
店内は、あくまで明るく清潔なインテリア。常にハーバードの学生たちでにぎわっている。
●店舗情報
サロニキ・グリーク(Saloniki Greek)
所在地=24 Dunster Street,Cambridge Massachusetts
●人気メニュー
・ニコピタ(オレガノでマリネートした鶏もも肉、ザジキ、秘伝のソース、ピタ)/9$79¢
※ザジキ=キュウリ、ニンニク、スパイスを混ぜ入れたヨーグルトベースのディップ
・マウント・オリンパス(オレガノでマリネートした鶏もも肉、グリーン野菜、トマト、キュウリ、オニオンフェタチーズ、オリーブ、新鮮なハーブと自家製ヴィネグレット)/11$59¢