メニュートレンド:コメをスープに溶かす新発想 濃厚なのに後味あっさり
女性店主による女性をターゲットにしたラーメン店として人気なのが、大阪の都島にある「オコメノカミサマ」だ。コメをスープに取り入れるという大胆な発想と、利用しやすい環境で多くの女性ファンを集めている。一般的な店とは一線を画すこだわりポイントを取材した。
●ニーズに合致し女性客7割
白を基調にした外観や内観から、ラーメン店のイメージを覆される同店。ラーメン店にはお決まりの、調理場を囲むカウンター席はなく、すべての席が壁に向けて設置されている。
「ラーメンは男性の作り手が多く、『カウンター越しに食べるところを見られるのがイヤ』という女性は多いもの。落ち着いて食事ができるように、このスタイルにしました」と、大端絵里香店主。ニーズに合致した店づくりで、現在では女性客が7割を占める。
大端さんは、吉本新喜劇の女優として活躍していたが、「好きなラーメンを仕事にしたい」と、1年間の修業を経て独立。最初の店は人気店となったが、病気になり2年半で閉店することに。
そして、療養中に病院食のおかゆからひらめいたのが「コメとスープをマッチングさせたい」というアイデア。新メニューに向けて研究を重ね、2018年に、“空間・メニューともに今までにない店”を目指してオープンしたという。
メニューは、あっさりからこってり系、季節の限定商品などをラインアップ。
一番人気は、スープとコメのエキスを1対1で配合した、超濃厚な「神様からの贈り物ラーメン」(880円)。麺には、米粉と全粒粉などを配合した特注の中太麺を採用。香ばしくもっちりした食感を実現している。
スープに合わせるコメは、だしで炊いておかゆにしてから溶かし、とろりとした液体状に。牛・豚・鶏・煮干しなどで作るスープとブレンダーで合わせて乳化させ、よりまろやかな口当たりへと調味する。こってりしているのに後味がしつこくないのも、コメのなせるワザといえそうだ。
ラーメン店では定番のチャーハンなどがないのも同店のこだわり。「地産地消で、大阪府下の契約農家から届く新鮮なコメのおいしさを提供したい」と、「羽釜で炊いた銀シャリ」(380円)や「並おむすび」(2個220円)などを用意。ラーメンとセットで頼む女性客も多く、こちらも好評だ。
「子どもメニューもあり、ファミリー客が多いのも特徴です。今後も地域に愛される店づくりを」と大端店主。また、8月には新業態のハラミ料理専門店「ハラミノカミサマ」を千日前にオープン。女性目線での新たな挑戦に注目したい。
●店舗情報
「オコメノカミサマ」 経営=ロップイヤー/店舗所在地=大阪市都島区都島本通3-22-6/開業=2018年10月/坪数・席数=約11坪・13席/営業時間=11時~15時、土・日・祝日11時~15時、17時30分~20時。無休/平均客単価=1200円/1日平均集客数=平日40人、週末90人
●愛用資材・食材
「土佐の塩丸」 ソルティーブ(高知県幡多郡)
コメに合う天日塩
「羽釜で炊いた銀シャリ」に添えるのが、高知の天日塩である同品。火力を使わず、海水を自然の力で結晶化させた手作りの塩である。店のオープン時に「コメに合う塩を」と探し、さまざまな商品を試して選択したもので、おにぎりの塩としても活用。利用客からは、「購入したい」という声も聞かれるなど好評という。
規格=500g