アポなし!新業態チェック(159)「ディッシャーズ」新宿住友ビル店
●アレフ「びっくりドンキー」の新業態 電子機器を活用しセルフで注文・会計
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」を展開するアレフが、同ブランドの派生業態である新コンセプト店舗「ディッシャーズ」を出店した。
同店は、ワンプレートで提供するハンバーグ料理に特化した小型店で、繁華街やオフィス街などにも出店が可能。従来のフリースタンディング型やビルイン型、フードコート型の店舗に加えて、同社の出店範囲がさらに広がった。
この「ディッシャーズ」には、2つの大きな特徴がある。1つはメニュー。従来型の店舗で「バーグディッシュ」と呼ばれている木皿にのせたワンプレートタイプのメニューに限定し、トッピングなどを自由にカスタマイズできる。ハンバーグとライス、サラダが一皿に盛られた9種類の「ディッシュ」は780円~980円。これに、「カレー」「デミグラス」「ミート」など4種類のソース(各200円)や、「エッグ」「おろしそ」「チーズ」(各100円)「ディッシャーズチキン」「厚切りベーコン」(各200円)などのトッピングを好みで組み合わせる。パティの追加は350円、サラダの大盛りは+100円、ライスも量だけではなく低カロリーの「カリフラワーライス」(+100円)などが選べる。アイテムは一部限定されるが、テイクアウトも可能だ。
もう1つの特徴は、一人客にも対応したセルフ販売システム。カスタマイズの内容も含めて、すべて客席のタブレット端末から注文し、会計もセルフレジ。近隣で働く若い人たちを中心に、ランチや会社帰りに気軽に利用できる、スタイリッシュな店舗となった。
(価格は税抜き)
★けんじの評価 メニュー限定カスタマイズ型の小型店
今回臨店した新宿住友ビル店は、同ブランドとしては2号店となる。1号店は同月の初めにオープンした江ノ島店なのだが、コロナ禍の中、県境をまたいで江ノ島まで行くこともはばかられた。また、両店を比較して、よりコンセプトにふさわしいのは新宿の店舗だろうとも考えた。
大規模なリニューアルが行われた新宿の住友ビルは、すぐ近くに都庁のタワーがそびえるビジネス街に位置している。そうした立地で、客席からタブレット端末で注文し、電子マネーで会計するような飲食店がシニア向けであるはずはない。一人客といっても、対象となるのはビジネスパーソンだろう。実際、筆者が臨店した際にも来店客の多くは会社勤め風の男女だったし、新宿店では江ノ島店にはないモーニング営業(メニュー)も実施している。どう考えても、「ディッシャーズ」の立地は都心部が本命と思われる。
提供のスタイルは異なるが、ハンバーグは「びっくりドンキー」と同じ。つまり、利用の仕方は異なっていても、同店のターゲットとなるのは、あくまで「びっくりドンキー」のハンバーグに満足している人たちということになる。出店立地の領域を広げるという目的だけで、ここまでオペレーションの異なる店舗をわざわざ開発したのだろうか。また、このようなメニュー限定型の小型店は、過去にも「ガスト」などが挑戦しているが、効果を上げた例は少ないように思う。そう考えると、これは将来的なブランド全体の改革を踏まえた実験店舗なのかもしれないとも思えるのだ。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「ディッシャーズ」新宿住友ビル店
開業=2020年6月15日/所在地=東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル地下1階
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/