メニュートレンド:寿司を高さで魅せる「スパイシーロール」
近年、カジュアル寿司店の個性化が注目されている。2020年3月、東京・渋谷にオープンした「かどはち 燻」渋谷店は、職人の技術を駆使した飾り寿司をはじめ、米国生まれのロール寿司、韓国生まれのユッケ寿司など多彩な寿司のラインアップが売りの新店だ。中でも独自性の高さが際立つのが、うず高い盛り付け方が特徴のスパイシーロールだ。
●国際色豊かな食材が融合 つまみにも食事にもなる辛味寿司
うず高く盛り付けられたロール寿司の高さは15cmを超える。長い歴史を持つ寿司が今も多くの人に愛される理由の一つとして、客層や時流の変化を絶妙に取り入れながら変化し続けていることが挙げられるが、一口サイズが売りの寿司で高さを演出する発想はまれだ。
「近年“インスタ映え”する料理の傾向として、高さのあるものが目立っています。そこで店の独自商品を開発するにあたって、高さを強調したものにしたいと考えたんです」と、商品開発を担当した秋岡龍一部長は語る。
ベースとなるロール寿司は卵焼きを酢飯で巻いてトビコをまぶしたもの。これを下から4貫、3貫、1貫の3段に重ねていく。段差のある箇所にネギトロを飾り付けて、頂上部にはキムチをたっぷり盛り付ける。そして短めに刻んだカイワレと天かすを振りかけ、仕上げに煮穴子のタレとシラチャーソースで寿司ゲタに模様を描いて完成だ。
こう書いてお分かりのように、見た目の斬新さと同じくらいに、食材選定や組み合わせ、味にも驚きがある。日本生まれの寿司だが、米国で進化したロール寿司のスタイルを選び、韓国伝統食のキムチ、タイ生まれのシラチャーソースと実に国際色豊かだ。
「商品のインパクトを最大化するため、火山のような赤を強調したビジュアルを目指しました。キムチとシラチャーソースはどちらも酸味が利いた辛さですが、これに甘味のある煮穴子ダレを組み合わせてバランスを整えました」と秋岡部長。食べてみると、お寿司のようであり、ご飯のようであり、酒のつまみのようであり。つまりどんな動機で注文しても違和感なく味わえる懐の深さを持ち合わせている。
「スパイシーロールをはじめとした、複数の独創性の高い寿司アイテムを揃えた寿司屋は少ない。これを武器に酒類も充実させ、“寿司屋で飲む”スタイルで若者や女性層に支持される店を目指します」と秋岡部長は展望を語る。
●店舗情報
「かどはち 燻 渋谷店」
経営=キングス ノウ/店舗所在地=東京都渋谷区道玄坂1-5-3 渋谷ケントラストビル2・3階/開業=2020年3月/坪数・席数=40坪・90席/営業時間=11時30分~14時30分(LO14時)、16時30分~23時30分(LO22時30分)、土・日・祝日13時~23時30分(LO22時30分)。無休/平均客単価=昼800円、夜4500円
●愛用資材・食材
「紫峰(しほう)」 柴沼醤油醸造(茨城県土浦市)
木桶仕込みの本格派
同店が卓上醤油として愛用する。カツオだしやみりんなどで調味され、寿司との相性がよい。1688年創業の老舗醤油メーカーで、木桶仕込み、非加熱ならではの風味を生かした醤油造りに強いこだわりを持つ。
規格=1.8L
●「スパイシーロール」 1,280円(税抜き)【写真1】
スパイシーロールは写真のレギュラーとハーフ(680円)の2サイズ。「果汁レモンサワー」(580円)はレモン1個分とマイナス50℃で凍らせたキンミヤ焼酎のシャリキンを合わせた人気商品