メニュートレンド:はみ出たお焦げカリカリ 羽根つき焼きおにぎり【動画付き】
「焼きおにぎり」を好む消費者は多いものの、看板商品にしたり独自商品を打ち出すような飲食店はほとんど皆無。そんな空白市場にビジュアルとバリエーションの両面でオリジナリティーを強力にアピールする「羽根つき焼きおにぎり」を開発したのが、東京・入谷の「羽根つき焼きおにぎり専門店&LABAR gao」だ。
●おいしさ多彩な13種類
「あるネパール家庭料理店のカレー焼きおにぎりにオーナーがほれ込み、仕事を辞めて修業し、後にネパールを訪れたほどの熱量から誕生しました」と森山利晃店長は語る。ネパールにも焼きおにぎりの食文化があったのかと驚く一方で、その時点では「羽根つき焼きおにぎり」という発想はなかったそうだ。きっかけはまさに偶然。焼きおにぎりはおにぎり型を搭載した特注のホットサンドメーカーを使って挟み焼きするのだが、ある日ご飯の分量を間違えてしまう。とりあえずそのまま焼いてみたところ、はみ出た部分がカリカリした歯応えで香ばしさも倍増。羽根つきギョウザのような見た目もオリジナリティーがあり、強力な差別化になると考えた。
調理はあらかじめおにぎり玉の状態にまで仕込んでおき、注文後の調理はホットサンドでの焼成のみ。温度は205℃に設定し、焼成時間は90~120秒。9割方焼き上がったところでおにぎりの向きを変え、10秒ほど追い焼きをすることで焼きムラなく仕上げている。「商品ごとに水分や油分の含有量が異なるので、焼き加減やプレスの調整が欠かせない」と森山さん。取っ手に体重をかけて圧力を高めるなどの工夫をしながら、理想的なカリカリ感に仕上げていた。
ユニークな点がもう一つ。とにかく商品バラエティーが豊富なのだ。取材当日のラインアップは13品。創業のきっかけとなった「ネパーリーカレー」(350円)のほか、売れ筋1位の「チーズリゾット」はイタリア料理のリゾットから着想し、「天使(白だし、天かす、青さ、紅生姜入り)」はお好み焼きが元ネタ。各国・各地の名物料理が焼きおにぎりに変身する。「試作した焼きおにぎりの数は100種類以上に上ります。世界にはコメ料理がまだまだたくさんあり、新商品開発のネタは尽きません。今後はイベント出店やネット通販にも力を入れて、裏浅草~根岸の新名物になるよう頑張りたい」と森山店長は意気込む。
●店舗情報
「羽根つき焼きおにぎり専門店&LABAR gao」
所在地=東京都台東区入谷2-3-3/開業=2017年2月/坪数・席数=3坪・4席/営業時間=11時30分~14時、金曜のみBAR営業17時~20時(コロナ禍による変更の可能性あり)。土・日・祝日休/平均客単価=1000円
●愛用食材・資材
「鹿島第三初○2」 ぬま田海苔(東京都台東区)
繊細な食感 濃厚な香り
合羽橋の「ぬま田海苔」は、日本でも唯一の初摘み海苔のみを取り扱う専門店。「香りが濃厚で食感が繊細。他の海苔との差に驚きました」と森山店長。羽根つき焼きおにぎりのトッピングとして1枚100円で提供するが、半数近くが注文する隠れた人気アイテムだ。
規格=10枚入り
【写真説明】
写真2:地域活性化を目指し、根岸「クレア」、裏浅草「乙」、合羽橋「ぬま田海苔」など地元飲食店らとのコラボ商品も展開