メニュートレンド:ゴマ団子が巨大化! 先鋭的四川料理の発想力

2021.08.02 510号 01面
「大玉ゴマ団子(金水晶)」1,800円(税込み)直径30cm超の巨大なゴマ団子は、シュールですらある。現地の重慶では、“ハゲ頭おやじ”を意味する「光頭司令」とも呼ばれている

「大玉ゴマ団子(金水晶)」1,800円(税込み)直径30cm超の巨大なゴマ団子は、シュールですらある。現地の重慶では、“ハゲ頭おやじ”を意味する「光頭司令」とも呼ばれている

【作り方】1:米粉をこねて発酵させた重量370gほどのタネを……

【作り方】1:米粉をこねて発酵させた重量370gほどのタネを……

【作り方】2:くるくると回しながら油で揚げ、膨らませていく。きれいな球形に膨らませるには、熟練の技術が必要

【作り方】2:くるくると回しながら油で揚げ、膨らませていく。きれいな球形に膨らませるには、熟練の技術が必要

【食べ方】箸やスプーンでパリパリと割り、手で裂いて食べる

【食べ方】箸やスプーンでパリパリと割り、手で裂いて食べる

写真6 (上)=「白身魚スパイシー煮込み(水煮魚)」1,800円(税込み)、(下)=「肉、野菜の串の特製激辛ソース掛け」1,400円(税込み)

写真6 (上)=「白身魚スパイシー煮込み(水煮魚)」1,800円(税込み)、(下)=「肉、野菜の串の特製激辛ソース掛け」1,400円(税込み)

 中国・重慶では舌の肥えたアッパー層のニーズに合わせ、伝統的な四川料理が新しいセンスを加えて進化を遂げている。そうした新感覚の四川料理を中国では「江湖菜(ジャンフーサイ)」と称するが、これを日本に持ち込み、展開しているのが「麻辣大学 上野本店」。中でも、「大玉ゴマ団子」のインパクトは強烈だ。

 同店で提供するのは、「江湖菜の潮流をくんだ四川料理です。中国で広がっているダイナミックなエンターテインメント料理、と言えば分かりやすいでしょうか」と、白土健司店長。現在、重慶で先鋭的に進化し続けている四川料理を踏襲しており、来店するお客の9割が自国の味を求めて訪れる中国人だ。「料理を運ぶと日本人のお客さまは豪快な量と唐辛子どっさりの見た目に皆さん、驚きます。一方、中国の方は『そう、この分量、この味だよ』と満足そうに笑みを浮かべますね」と、白土店長は言う。

 同店の本格四川料理は一度食べたら忘れられないほど印象強く、日本人でハマる人も多い。中でもメディア取材が殺到しているのが「大玉ゴマ団子」。原型は「風船団子」と呼ばれる米粉を膨らませて揚げた広東省のだんごで、これにごまを加え、直径30cm以上に膨らませるアレンジをした一品だ。「もう少し食べやすい大きさに、とも思ったのですが、調理の技術も確立されており、粉の配合も絶妙に決まっているため、中国人シェフたちが聞き入れてくれなかった(苦笑)」(白土店長)そうで、「中華鍋に合わせた大きさ」に仕上げているのがポイントのようだ。

 ゴマ団子のインパクトばかりについ目を奪われてしまうが、同店のほかのメニューも相当にダイナミックだ。かの国ではおなじみながらも、日本では目新しい発想のアレンジ料理が多く、新鮮な驚きを感じさせる。四千年の歴史がある本格中国料理といえど、センスと発想次第でまだまだブラッシュアップの余地あり、というわけだ。

 ●店舗情報

 「麻辣大学 上野本店」 所在地=東京都台東区上野2-14-31 レイクサイドビル7階/開業=2017年/席数=85席/営業時間=11時~15時、17時~22時。無休/平均客単価=昼1500~2000円、夜3500~4000円

 ●愛用食材・資材

 「DAIKO 四川青花椒ホール・満天星辣椒」

 輸入者=大行商事(東京都江東区)

 現地の味再現に欠かせない

 同店の調理に欠かせないのがこの2品。どちらも「本場の味を再現するのに欠かせない」という。器を覆うばかりに唐辛子を使うのが同店の料理の特徴だが、同品ならまろみのある辛さになる。一方、青花椒は粒のまま使用。「この山椒のおかげで、油があまりギトギトせずに爽やかな風味が加わる」と、白土店長は言う。

 規格=各500g

 【写真説明】

 写真6:「白身魚スパイシー煮込み(水煮魚)」1,800円(税込み)中国人客の一番人気。たっぷりの唐辛子が映える。辛味とうま味が汁に溶け込んでいるため、この唐辛子は食べないのが現地流。/「肉、野菜の串の特製激辛ソース掛け」1,400円(税込み)各種串料理をタレにどっぷりと浸して食べる。タレは、「よだれ鶏」と同じ味付け。この発想はさまざまに応用できそうだ。

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