アポなし!新業態チェック(196)「リストレット&クロワッサン ラボラトリオ」自由が丘店
●サンマルクHD、高単価新ブランド カフェ&ベーカリーの新業態クロワッサンとコーヒー主体に
サンマルクホールディングスが、新業態のカフェ&ベーカリー「リストレット&クロワッサン ラボラトリオ(RISTRETTO&CROISSANT LABORATORIO)」を東京・自由が丘の商業施設に出店した。同店はクロワッサン専門のベーカリーを付設したカフェ業態で、エスプレッソの抽出法の一つである「リストレット」で抽出したコーヒーを提供する。店名の「ラボラトリオ」とは「工房」という意味だ。
店内で焼き上げるプレーンの「クロワッサン」(400円)は、小麦粉やバターなど素材にこだわった本格派。そのクロワッサンに具材を挟んだ「黒トリュフ香るたまごサンド」(680円)や、別の素材を加えて焼き上げた「クロックムッシュ」(680円)、甘いデザート系の「ピスタチオ」「アールグレイ」(各650円)など、さまざまなバリエーションが豊富に用意されている。
そしてメニューの大きな特徴はドリンク類だ。エスプレッソよりも濃いリストレットショットのコーヒーをベースにしたカフェラテ「マジック」(740円)は、同店のシグネチャードリンク。ほかにも、コーヒー豆をウイスキー樽で寝かせた「バレルエイジドコーヒー」(1200円)や、ショコララテとクロワッサン、生クリームをセットにした看板メニュー「モカ・ショコラショー」(1580円)など、独自のアイテムが並ぶ。食事系メニューの「フレンチトースト&ソーセージエッグプレート」(1480円)やアルコール飲料も揃えた。(価格は税込み)
★けんじの評価:高単価なスタイル、多店舗化となるか
同店が出店したのは、イオンモールが新しく都市型の商業施設として開発した「自由が丘 デュ アオーネ」。この地で50年以上営業を続けてきた食品スーパー「ピーコックストア」の跡地を再開発した小型の商業施設である。敷地は商業地区と住宅街の境目にあり、従来のイオンモールとはまったく異なった客層と利用動機を狙った新しいタイプの商業施設だ。入居テナントの多くはかなり高単価な業態。同店もメニュー価格の設定から、おそらくスターバックスのようなカフェとは大きく異なる客単価となるだろうことは想像できる。
施設の規模からテナント数は少なく、地下に再出店した「ピーコックストア」を含めて全26店舗しかない。臨店時には3階の飲食テナントがまだオープン前であったとはいえ、同店は店舗の内装やメニューの斬新さなどに十分な魅力があり、多くの来店客であふれていた。
イオンモールがこの施設にどのような未来を描いているのかはわからない。しかし、「自由が丘の駅から徒歩2分」のような立地が全国にどのくらいあるのだろうと考えると、この施設で成立するような高単価なブランドを多店舗化できる可能性については、あまり楽観視できないのではないか。
臨店時にはオープン景気の中で平日でも館内はにぎわっていたが、新しくできた施設をひと目見ようと訪れた「観光客」も少なくなかったように思う。デベロッパーの気まぐれな戦略に乗り、開発したテナントの新業態がその場限りで終わった例は、決して少なくはないはずだ。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「リストレット&クロワッサン ラボラトリオ」自由が丘店
開業=2023年10月20日
所在地=東京都目黒区自由が丘2-15-4 自由が丘 デュアオーネ2階
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/