海外通信 外食ビジネスの新発想(76)家庭食、コンフォートフードの外食化
ボーンレス・ウィング(21$49¢)アメリカ人は、手羽先が大好き。バッファローやハニーBBQなど6種類のフレーバーから選ぶ。手羽先を付けるためのディッピング・ソースは、ブルーチーズ・ドレッシングかバターミルク・ランチ・ドレッシングの2種から選ぶ
バーボン・ストリート・ステーキ(32$99¢)バター風味のガーリックとパセリにケイジャン・スパイスを利かせた8オンス(約225g)のトップ・サーロイン。マッシュルームとオニオンのソテー、ガーリックマッシュポテト付き
サクサクのワッフル・フライに、とろけるチェダーチーズ、ホワイト・チェダー・ビール・チーズ、カリカリのアップルウッド・スモーク・ベーコンをトッピング。バターミルク・ランチ・ドレッシングをかけて食べる。(32$99¢)
●定番料理の人気復活 パンデミック後の食志向は保守化
「アップルビーズ・ネイバフッド・グリル&バー」は、名前に「ネイバフッド(近所)」が入っている通り、「近所のお客さまをお迎えする場所」というコンセプトのカジュアル・レストラン・チェーンだ。「おいしくてリーズナブルな食事」「爽やかで楽しい飲み物」「思い思いに過ごせる環境」を3本の柱にしている。
1980年にジョージア州アトランタ近郊のディケーターに第1号店をオープンして以来、1500店舗余りを11の国と地域に展開(日本は未展開)。メニューは、パスタ、チキン、リブ、サラダ、シーフード、スープ、ステーキ、サンドイッチという定番中の定番。これにカクテルやビール、ワインの豊富なアルコールのラインアップとキッズメニューが加わって、ありとあらゆる年齢層と嗜好をカバーしている。
アメリカのカジュアル・レストランとして欠かせないのが、アメリカの国民食、ハンバーガー。8種類のバーガーをメニューに載せている。シグナチャー・バーガーのネイバフッドバーガーは、約100gのジューシーなオーのビーフ・パティ2枚を直火であぶり、細切りレタスとピクルスと共にブリオッシュのバンズに挟んで、アメリカン・チーズを重ね、自家製ガーリック・マヨをかけたもの。バーガーに付き物のフライドポテトが付いてくる。
「ダブルグレーズド・ベビーバックリブ」も人気の一品。客の好みに合わせてハニーBBQソースかスイート・アジアン・チリソースをマリネ-トし、ほろほろになるまでじっくりと焼き上げたリブだ。これには、フライドポテトと特製コールスローが付いてくる。
シーフードも、あくまでアメリカンで、チョイスは、魚のフライ、エビのフライ、サーモンのグリル。
どれも、ハイエンドの高級料理でなく、オーソドックスな定番料理ばかりだ。コロナ禍が消費者の嗜好を保守化させ、トレンディーな高級レストランの成長が鈍くなり、和気あいあいとしたアットホームな食事空間でのおなじみのコンフォート・フードを求めるようになった。同チェーンも、21年と22年の売上高が大幅に伸びている。
数年前に1$のマルガリータやロングアイランドアイスティーという破格のカクテルをオファーしたところ客足が伸び、売上げを上げたことから、プロモーションを行うようになった。現在は、アペタイザーとメイン料理2人前で25$(NYでは38$)というプロモーションを行っている。
※写真の価格はすべてニューヨークのタイムズスクエア店から
●「アップルビーズ・ネイバフッド・グリル&バー」(Applebee’s Neighborhood Grill+Bar)