シェフの食材批評:フロリレージュ・川手寛康シェフ ヤマサ醤油「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」
●仏料理を彩る絶妙なアクセントに 海外・外国人向けメニューに好適
開店以来「ミシュランガイド」で星を獲得し続けている、東京・南青山の「フレンチレストラン フロリレージュ」。シェフの川手寛康氏は34歳という若さながら国内外の有名店で研鑽を積み、伝統料理と現代の調理法を融合させた極上のフランス料理を提供する。店は住宅街の中にあって隠れ家のようなたたずまいだが、連日予約客で満員。全20席という目の行き届く空間で供される、各メニューに合ったワインの提案、きめ細やかなサービス、上質ながら高いコストパフォーマンスもあって、人気・実力とも若手一番のシェフという地位を確固たるものとしている。
フランス料理に欠かせない食材はバターやフォアグラなど多種に及ぶが、意外にも現地では、日本の伝統的な基礎調味料である醤油が定着しているという。醤油はどのスーパーでも取り扱われて、うま味の認知もヨーロッパ全体で進み、醤油は身近で愛される食材になっている。
フランスで醤油は付け・かけするのでなく、ラタトゥイユや赤ワイン煮など煮込み料理の隠し味として用いるのが一般的。同国で「ソースソジャ(大豆)」と呼ばれる醤油はうま味が濃く、日本の醤油で似ているとするのがヤマサ醤油の「重ね仕込しょうゆ本懐石」だ。「本懐石」は独自製法によって素材を生かす色と香り、豊かなうま味が特徴のヤマサ最高峰の醤油。添加物由来の雑味が多いソースソジャに比べて、大豆、小麦、塩だけを原料にした本懐石は雑味がなくて味わいもきれいと評価する。
川手シェフは、本懐石の濃厚なうま味と甘味に注目。煮込み料理の仕上げに隠し味として使えば、ふくよかな味わいが広がり、マリネなどソースを食材に染み込ませる料理にも最適とする。ムニエルした魚に最後、本懐石を加えれば、うま味が格段に増して「ずるいほどのおいしさ。ずるいけれど現地のフランス人はやっていること」と笑う川手シェフだが、自身は和食を連想させる醤油を店で使わないと一線を引く。本場のフランス料理を期待する、顧客を裏切らない真摯な姿勢に揺らぎはないが、「本懐石は欧州のスタンダードに近く、さらに澄んだ味わい。フランス料理に向き、普通の日本の醤油では塩辛く感じるであろう海外や、外国人に提供するメニューにも合う」と太鼓判を押す。
●プロフィール
川手寛康(かわて・ひろやす) フレンチレストラン「フロリレージュ」シェフ 1978年東京都調布市出身。97年駒場学園食物科高等学校を卒業後、「恵比寿QEDクラブ」に入社。2000年から西麻布「オオハラ エ シイアイイー」、02年から「ル ブルギニ オン」で修行。06年渡仏してモンペリエの「ジャルダン デ サンス」で修行し、帰国後は07年から白金台の「カンテサンス」でスーシェフとして活躍。「カンテサンス」は同年11月に初めて発行された「ミシュランガイド東京」で三つ星に。09年6月「フロリレージュ」を開店し、同年から3年連続で「ミシュラン」一つ星を獲得。
●店舗情報
「粋餐 石和川(いわかわ)」 所在地=東京都港区南青山4-9-9
●食材紹介:ヤマサ醤油「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」
麹3種の超特選仕立て
うま味の目安となる窒素分が一般的な醤油より20%多い超特選醤油。3種類の麹を使う「重ね仕込:追い麹製法」(特許取得済)によって、やわらかな香りと明るく澄んだ色、強い甘味、濃厚なうま味を引き出している。
規格=1.8Lハンディボトル×6