惣菜弁当の殿堂(6)むらせ 茶屋本店「お煮しめ」 病院の減塩指導で素材の持ち味が開花
●「安心」「安全」「美味」を追求 寄り合い料理の伝承に着目 おもてなしにも重宝!
コメを通じて日本の食文化を伝えるコメ卸商社の(株)むらせ。同社が手がける惣菜店と和食店の複合店「茶屋本店」は、惣菜月商1500万円(和食店と合わせて1800万円)の繁盛店だ。2000年、素人数名でオープンした、見切り発車の単独店だったが、試行錯誤と研究を繰り返し、いまや「家庭料理の代行です」(大桑かず子支配人)と自負するほど、地域に根ざしている。中でも「お煮しめ」は、同店の代名詞ともいえる看板料理。定番6アイテムの量り売り(100g/200円)を軸に平日18kgを販売している。人気要因は、化学調味料・保存料無添加、国産原料にこだわり、素材の持ち味を最大限に引き出した、“賞味期限当日限り”の調味と鮮度にある。一つ一つの素材を丁寧に炊き上げた独自の味わいは、コンビニやスーパーなどの大手企業ではまねのできない逸品といえる。
●商品発祥 病院の要望に応えてブレーク
「開業当初は全員素人で、他店のレシピや料理書から学び、自社基準を作成しました」と振り返る大桑支配人。そんな中、原田哲夫社長の「昔、町内会の寄り合いには、必ずお煮しめがあった」という言葉に着目。
「煮物は好きだが、作るのが面倒」という消費者心理と、核家族社会における家庭料理の伝承不足を踏まえ、家庭の味でもあり、もてなし料理でもある「お煮しめ」を商品化した。
さらに07年、近隣の大規模病院から「商品ごとにカロリー表示がされ塩分が低ければ、茶屋の惣菜を通院客に推奨できる」とのアドバイスに応え、管理栄養士の指導のもと、化学調味料無添加の減塩に取り組んだ。これを契機に「健康によい惣菜」といううわさが広がり、さらに集客が増えた。
大桑支配人は「すべてのレシピを一新し、素材の味を引き出した、やさしい味が表現できました」と話す。その成功が現在の同店の掲げる「安全」「安心」「美味」の精神につながっている。
●調理概要 日高産昆布と焼津産鰹節にこだわる
素材はすべて国産。メーンとなるコンニャク、椎茸、ニンジン、こうや豆腐、昆布、里芋をはじめ、正月にはゴボウやレンコン、春先にはタケノコなどと旬の新鮮なものを使用する。調理方法は次の通り。
(1)だし汁は、日高産昆布と焼津産鰹節から、毎朝すべての調理に使用するだけ取る。(2)素材を大きめにカットする。(3)素材別にだし汁と醤油、日本酒、みりん、砂糖などで味付けし、約1時間から3時間煮しめていく。(4)冷まして、素材別に冷蔵庫で一晩寝かせ、さらに味を染み込ませる。(5)素材別に大皿に盛り付ける。
●販売実績 椎茸と昆布が1番人気 おはぎも名物
量り売り惣菜は100g/200円が基本。煮物類の平均日販は約100kg。「お煮しめ」(定番6アイテム)の平均日販は約18kg。惣菜月商は約1500万円(弁当、和食店を含め1800万円)。1日の来店者数が490人から600人と地域では欠かせない店舗となっている。
煮物類は常時10品以上がラインアップされており、季節により入れ替わりもあるが、お煮しめの実績は通年不動だという。また、売れ行きでは、椎茸が断トツの1番人気。大桑支配人は「一通り買われる方が多いですが、販売量では椎茸と昆布が抜けていて、あとの3品は同じくらいですね」と言う。
一方、お煮しめと同格の看板商品「手作りおはぎ(2個/210円)」も日販売平均500個(彼岸時1200個)の繁盛ぶりを見せている。
●ポイント 盛り合わせパックではなくバイキング売り
他店でも煮物料理は定番だ。だが、それらの多くは、詰め合わせパックが多い。本品の場合、各素材の味がまじらないよう、別々に大皿に盛り付けて、バイキング形式で量り売りしている。これが大きな特徴だ。
また、家庭料理でありながら、ワンランク上の高級感を醸し出す、「お煮しめ」という商品名もポイントだ。ふるまい料理として大量に買っていく人もいるほどだ。
国産素材に限定し、化学調味料・保存料無添加、賞味期限当日限りをモットーにしている。そのこだわりが、多くのお客に支持されている理由だろう。
大桑支配人は「新しい技術を学び、季節素材を追求しながら、今ある惣菜を磨き上げレベルアップを図りたい」と、さらなる意欲を見せている。
●食材・資材の決め手
「ヤマサ醤油(濃口)」 煮物の醤油はこれに限る
煮物の味付けには欠かせない醤油は、「ヤマサ醤油(濃口)」を愛用。芳ばしい香りと、明るくさえた色、コクのある味が魅力の同商品は素材を生かす醤油だ。さまざまな商品を試した中から今は「塩気に角がなく、うま味に丸みがあって、味に伸びがある。煮物系の醤油はこれに限りますね」(大桑支配人)と信頼を寄せている。
●店舗メモ
店名=茶屋本店/経営=(株)むらせ/本社所在地=神奈川県横須賀市米が浜通り1丁目6番地/事業内容=大正15年創業のコメ卸商社。外食事業として2000年、惣菜・和食店の複合店「茶屋本店」を開業。他に「会津そば 玄武」「やきとり・釜めし 葉山 鳥ぎん」などを展開。
むらせグループHP http://www.murase-group.co.jp/













