シェフの食材批評:徳家・大西睦子女将 キッコーマン「キッコーマン うすくちしょうゆ」

2013.03.04 408号 05面
「キッコーマン うすくちしょうゆ」

「キッコーマン うすくちしょうゆ」

 ●ハリハリ鍋のスープのポイント

 大阪・千日前のクジラ料理「徳家」は、ハリハリ鍋で有名な店。“ハリハリ”とは、水菜の意で、シャッキリした食感からこの呼び名が生まれたという。鍋の素材は、水菜と、クジラの赤身肉が主役である。

 今では貴重な鯨肉だが、以前の大阪では、魚屋で気軽に買える食材であり、ハリハリ鍋は家庭の食卓で普通に食されていたもの。いわば、大阪人の“ソウルフード”と言えるほどに親しまれていたメニューである。

 しかし、家庭では、すき焼き風の甘辛い味付けが一般的な食し方。そこで同店では、酒にも合うあっさり味へと考案したという。スープのベースは、たっぷりと使用する良質の鰹節。そして、味付けのポイントとして開店当初から愛用するのが、「キッコーマンうすくちしょうゆ」である。

 「上品な淡い色合いと、コクのある味を出すために使用しています。薄口でありながら力強さもあり、鯨肉の持つ独特のクセにも合う」と、女将の大西睦子さん。スープは、うすくちしょうゆと酒、みりんなどで味を調え、青唐辛子のハラペーニョも丸のまま加えて、ピリ辛の風味に仕上げている。

 さらに、鯨肉には、片栗粉を付けて下ゆでして使用。肉に衣を付けることで、煮ても硬くなりにくく、スープの味もしっかり入るという。その他、クジラの舌である「サエズリ」の煮物などにも同商品を使用し、鯨の奥深い味を提供している。

 ●「キッコーマンうすくちしょうゆ」

 キッコーマン(千葉県野田市)

 淡い色に仕上げ素材生かす

 素材の色合いを生かす料理のために、淡色に醸造された料理用の醤油。季節の野菜を使った煮物や吸い物などを、色鮮やかに味もしっかりと仕上げる。

 ※同社HPより

 規格=1800ml

 ●プロフィール

 「徳家」女将 大西睦子氏

 おおにし・むつこ 1943年大阪府生まれ。1967年、大阪千日前でクジラ料理「徳家」を開店。商業捕鯨の規制とともに捕鯨問題に取り組み、国際捕鯨委員会(IWC)などへ、民間オブザーバーとして参加。日本の食文化を守り、次世代へ伝えることを目標に、利用客の裾野を広げるサービスの充実にも取り組んでいる。

 ●「徳家」

 所在地=大阪府大阪市中央区千日前1-7-11

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