メニュートレンド:ジョッキスパークリング おしゃれな「泡」をジョッキで豪快に

2014.04.07 421号 02面
しっかり冷やしたビールジョッキに氷を入れてスパークリングワインをたっぷり注ぐ。フードは手前が季節野菜の「バーニャカウダ」(880円)、奥が「卵と生ハムのガレット」(1,380円)

しっかり冷やしたビールジョッキに氷を入れてスパークリングワインをたっぷり注ぐ。フードは手前が季節野菜の「バーニャカウダ」(880円)、奥が「卵と生ハムのガレット」(1,380円)

室内ながら、テーブル席に大きなパラソルを立てるなど屋外の開放感を演出。キッチンはフルオープンで料理の臨場感とともに食事を楽しむスタイルだ

室内ながら、テーブル席に大きなパラソルを立てるなど屋外の開放感を演出。キッチンはフルオープンで料理の臨場感とともに食事を楽しむスタイルだ

 「とりあえず生ビール」は過去の話。いまや「まずは泡で乾杯」が、外食シーンのトレンドだ。この「泡」とは、もちろんスパークリングワインのことだが、その売り込み方も日々進化。2010年ごろにはシャンパングラスからこぼれるまで注ぐ「こぼしスパークリング」が流行。その流れは、東京・三田の慶応大学前に店を構える欧風ダイニング「ビノグラーチェ」が提供する、ビールジョッキになみなみと注がれた「ジョッキスパークリング」へと発展した。

 ●サワー感覚で気軽さをアピール 仏伊ベースの料理とも相性よし

 「イタリア料理やフランス料理をベースにしていながらも、気軽に利用できるカジュアルな店であることをアピールしたかった。そこで考えたのが高級なイメージのスパークリングワインをジョッキになみなみと注いでサワー感覚で楽しむ提案でした」と店長兼料理長の瀧沢直樹さんはジョッキスパークリングを開発した理由を語る。

 狙いは的中し、多い日には1日で12Lも消費する売れ行きを見せるという。使用するスパークリングワインは、生ビールのように樽詰めになったチリ産のスパークリングワイン。樽詰めの利点は、一般的なボトル詰めワインのように熱処理で発酵を止めたり防腐剤を使わなくてもよい点だ。サーバーを使って提供するぶんだけ注ぐから、いつでも出来たてフレッシュな味わいを提供できて付加価値が高く、ロスの心配も少ない。ブドウ品種はソーヴィニヨンブランで、果実の風味がしっかり味わえるやや甘口。アルコール度数は9度と、ワインとしては低いので女性客も抵抗なく飲めるのが人気の理由だ。「お客さまによっては、食事の最後までジョッキスパークリングだけ注文する方もいるほどです」と瀧沢さんは顔をほころばせる。

 同商品と合わせて人気が高いフードメニューは、鎌倉野菜を使った野菜料理や、ブルターニュ名産のガレットなどヨーロッパ各地の郷土料理だ。鎌倉野菜は、レディーダイコンや生のまま食べられるホウレンソウなど四季折々の珍しい野菜が揃う。この野菜料理を目当てに近隣に勤める女性客が連日押し寄せて、じつに8割という女性客比率を誇っている。

 「和洋のジャンルにとらわれず、これからも鎌倉野菜を核にした店を出していきたい」と、現在2号店を計画中だ。

 ●店舗情報

 「ビノグラーチェ」 経営=美の蔵/所在地=東京都港区三田3-2-1 弓和三田ビジデンス101、電話03・6809・4774/開業=2013年4月/営業時間=午前11時半~午後2時半、5時~11時(10時半LO)、日曜・祝日休/坪数・席数=24.5坪・42席/客単価=3500円

 ●愛用資材・食材

 「カマルグ セル・ファン」 輸入元=アルカン(東京都中央区日本橋)

 ミネラル分が豊富 鎌倉野菜と相性抜群

 「鎌倉野菜と相性のよい塩」と瀧沢が愛用するのが、南フランス、カマルグ産の塩だ。地中海から海水を引く伝統的な塩田製法で、精製していないにもかかわらず美しい真白な結晶が特徴。精製していないため、海水に含まれるミネラル分が豊富で、塩そのものにうま味を感じる。季節野菜のフリットなどの野菜料理はもちろん、牛フィレ肉とフォアグラロッシーニといった肉料理などすべての料理に使用している。

 規格=250g(常温)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド