ヒットメニュー列伝近代メニューに名を残す逸品(55)「ホールドバゲット」あらびきソーセージ

2008.10.06 348号 09面

 ◆北欧発のハンディーフード ホカホカでパリパリ、気軽なぜいたくを味わう

 ファストフードのニューフェース。洋風のファストフードといえば、アメリカ系の料理がほとんど。そこにヨーロッパ風の新しい料理がやってきた。その名はデンマーク生まれの「ホールドバゲット」。北欧ではフレンチドッグと呼ばれて、片手で食べることができる、フランスパンを使った、ちょっと変わった手軽なスナックの定番なんだそうです。

 東京の四谷にできた小さなお店では、店頭で、バゲットを筒状の専用トースターに突き刺して焼く。パンの内部から火を通していくので、外はパリパリ。中はホカホカ。もっちりとしたパンそのものが味わえます。そして、突き刺して貫通したトンネル部分にソーセージなどの具材をつめて提供される。これがなんともおいしい。

 何がおいしいかというと、パンそのものがおいしいんですね。アメリカ的なホットドッグやハンバーガーは「具」がおいしい。けれど、これは中身じゃなくてパンそのもののうまみで食べる。つまり、日本のおにぎりに通じるところがあるのです。

 歯応えのあるフランスパンを使っているから、かみしめる楽しみもある。パクパクとあごを使わず食べ進めるアメリカ的とは、これまた違った大人の味わい。おもしろい。

 具にしても、挟んでいるのでなく、詰め込んでいるので、端まで具がある。尻尾まであんこが詰まっているたい焼きみたいな感じです。

 さらに、オニオングラタンスープなどのサイド商品も揃っている。しかも、どれもが本格的で、ファストフードというよりも、手早く食べることができるフランス料理みたいな感じで、気軽なぜいたくを味わえる。

 さて、どうなんだろう、この新しさ。男性的より女性的。子ども的じゃなく大人的。市場を間違えず魅力が正しく伝われば、新たな料理ジャンルができるのだろう。そんな風に思います。

 ◆「HOLE’D BAGUETTE(ホールドバゲット)四谷三丁目店」(東京都新宿区左門町、電話03・6427・7730)

 ((株)オージーエムコンサルティング代表取締役社長・榊真一郎)

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