中華料理特集 “たれ”までごちそう、味わい楽しさ2倍 大衆中華の一工夫

2008.11.03 350号 07面
「王朝」宮本荘三料理長

「王朝」宮本荘三料理長

 中国四大料理ならぬ大衆中華の四大料理といえば「麻婆豆腐」「エビチリソース」「酢豚」「青椒牛肉絲」が真っ先に思い浮かぶ。流派、飯店、中華料理店を問わず定番を不動とし、中華以外の飲食店や給食でも定食主菜として親しまれている。この大衆中華をもっとおいしく提供するための一工夫を中国料理「王朝」の宮本荘三料理長に教わった。

 ◆麻婆豆腐

 2~3cmの長さに切った春雨を加えて煮るだけ。春雨がたれを吸って麻婆春雨に。麻婆のダブルテイストが簡単に楽しめ、たれが残らず、ボリューム感も満点。「王朝」ではまかない料理の定番だという。ひき肉のかわりに五穀米を使えばヘルシー感をアピールできる。

 ◆エビチリソース

 仕上げに溶き卵(全卵)をまわしかけ、ソースになじませる。先駆けは「赤坂四川飯店」。四川系の飯店では定番化しており、ここ数年、四川系以外の飯店にも波及しているという。エビチリで一杯やって、仕上げに卵とたれをご飯にかけて食べる、というのが通らしい。

 ◆酢豚

 キュウリのブツ切りを加える。酸味と甘みのあるたれがキュウリにベストマッチ。彩りにアクセントもつく。宮本料理長いわく「ニンジンが多くても喜ばれないが、キュウリが多いと喜ばれる」のだとか。キュウリは生でも食べられるので、火入れ加減は好みで。

 ◆青椒牛肉絲

 定番の牛肉、タケノコ、ピーマンのほかに、赤ピーマン、シメジ、玉ネギなどを加える。健康志向に合わせ、既成レシピにこだわらず、身近な野菜類、キノコ類を積極的に加える。いわば“細切り肉野菜炒め風”に仕上げる。「王朝」では赤ピーマンとシメジが必須とか。

 ◆王朝 宮本荘三料理長 もったいない残りだれ生かそう

 中華料理の食べ方を見ていて「もったいない」と思うのは、「たれが食べ残されている」ということです。強火で一気に炒め、素材の持ち味を逃がさないのが中華料理の魅力ですが、火力が弱かったり、作り置きすると、せっかく閉じ込めた素材のうまみ(水分)が染み出てしまいます。作りたてを提供しても、小なり同じことがいえます。

 であれば逆手にとって、おいしさが凝縮されている“たれの活用法”を探るべきでしょう。コストをかけず、身近な材料を使って、たれまでおいしく食べさせるヒントを紹介します。

 ◇みやもと・しょうぞう=ヒルトン東京ベイ・中国料理「王朝」料理長。1952年北海道生まれ。中学卒業と同時に上京。新宿「美華」で3年間ラーメンの出前持ちの後、小田急ハルク「豪華」、銀座「東京飯店」、旧・東京ヒルトン「星ケ岡」、新宿・東京ヒルトン「王朝」を経て現職に。中国料理世界選抜コンクール銀賞、TVチャンピオン中国料理大会3連覇など、実力・人気ともにトップを走る。

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