ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(29)ソフト・プレッツェルは新しい食体験
日本ではまだそれほど知られていないソフト・プレッツェル。アメリカ人にとっても、長年、プレッツェルといえば、クラッカーのように硬いスナックであったが、「アンティー・アンズ・プレッツェル」(アンおばさんのプレッツェル)のモチモチ感のあるソフト・プレッツェルが新しい食体験を提供し、アメリカ各地に広まっていった。歩きながらでも食べられる手軽さから、人の往来の多いショッピング・モールや駅や空港を重点的に展開している。(外海君子)
同チェーンは、今でこそ知る人ぞ知る、有名なプレッツェル・チェーンになり、アメリカ各地のショッピング・モールなどで見かけるようになったが、元はといえば、ペンシルバニア州ランカスターのファーマーズ・マーケットで、夫婦が細々と手作りプレッツェルを屋台で売り始めたのが始まりだ。本部は、現在もペンシルバニア州ランカスターにある。
ニューヨーク一の繁華街、タイムズ・スクエアの中心にあるこの加盟店は、映画館やブロードウエイの劇場などに囲まれ、多くの人が行き来する好ロケーション。
コンパクトな店内に入ると、生地をカットし、細いひも状に伸ばしてから、ツイストさせるプロセスがガラス越しに見えるようになっている。整形した生地は、店内で焼いて、焼きたての熱々を提供。あたりにプレッツェルを焼く香ばしいにおいが立ち込める。ソフト・プレッツェルは、この食感といい、おいしさといい、日本人の味覚にも合うはずだ。
粗塩をかけたものがスタンダードだが、この店では、バターと塩味のオリジナル・プレッツェルのほか、アーモンド、シナモン・シュガー、セサミ、ガーリック、グレージング・レーズン、ハラペーニョ、プレッツェル・ドッグ、サワークリーム&オニオン、棒状のスティックス、小さめのパーティ・プレッツェルをそろえている。またプレッツェルに付けて食べるディップも、各75¢で、チーズ、サルサチーズ、クリームチーズなど7種類をそろえていた。
空港や駅、ショッピング・モールなど人の往来の多いロケーションに展開し、チェーン全体で2日で50万個のプレッツェルを作るという。ショッピングしながら、フライトや電車を待ちながら、手軽に何かつまみたいというときに最適のスナックで、現在では、アメリカ以外でも、イギリス、ギリシャ、タイ、インドネシア、ベネズエラなど20ヵ国に広がり、加盟店数980店舗を誇る。海外では、シンガポールでは海藻入りのもの、サウジアラビアではナツメヤシ入りのものがメニューにのり、その地に合った地域密着型のプレッツェルが作られているという。
2008年の売上げは、過去最高の3億900万ドルを記録。今年も、国内に42店舗、国外に52店舗を新しくオープンすることになっており、不況の中、好業績をあげている。
●事業データ
店舗名=アンティーアンズ・プレッツェル(Auntie Anne’s Pretzel)/所在地=664 8th Avenue New York, NY 10036/開業日=2005年11月/営業時間=日~木・午前10時~午後10時 金、土・午前10時~翌朝2時/坪数=500平方フィート/客単価=約5$/1日来店客数=約500人
●人気メニュー・ベスト5
(1)「シナモンシュガー・プレッツェル」(3$9¢)
(2)「オリジナル・プレッツェル」(バターと塩味3$9¢)
(3)「レモネード」(中2$50¢、大2$75¢)
(4)「プレッツェル・ドッグ」(3$50¢)
(5)「プレッツェル・スティック」(3$60¢)