中華料理特集 ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(34)一風堂 アメリカ人にも好評
あの「一風堂」がアメリカに進出して1年余。やや暗めのモダンな店内ですする日本のラーメンである。製法は日本と同じで、アメリカ向けに変えてはいないが、日本の国民食の受けはなかなかよいようで、予約を受けず、1、2時間待つこともざらにあるようだ。(外海君子)
◆つまんで飲んでラーメンを食べるプロセスすべてを1ヵ所に集約
2000年にアメリカ進出を考えたが、同時多発テロが起こったために見合わせ、去年春にオープン。第1号店の立地にニューヨークを選んだ理由は、アメリカの中心地で、結果がわかりやすいから。もし成功しなかった場合は見切りをつけて、さっさと撤退するつもりだったらしいが、実際は予想以上の反響があり、連日、行列のできる店となっている。入ってすぐバーがあり、待っている間に、日本酒や焼酎のカクテルなどを飲むことができる。
ターゲットは、働き盛りで、外食をする20代後半から30代前半の客層。だいたい日本では、飲んだあとでラーメンを食べて帰るというパターンが多いが、つまんで飲んでラーメンを食べるプロセスをすべてこの店1ヵ所にまとめてしまう1店完結型をコンセプトにしている。
材料は、醤油以外はすべて現地アメリカで調達。こちらの水は軟水で、スープが出やすいという。麺は、日本から運んできた製麺機で店内で作っている。
値段は、白丸元味、赤丸新味、鶏塩ラーメン、醤油ラーメン、すべて13$。焦がし味噌ラーメンが14$。替え玉は2$。トッピングの煮卵、温泉卵、辛子高菜、メンマ、特製オリジナルのスパイシーペースト爆弾は、各2$。角煮とチャーシューが各3$。
平日のランチタイムは、3$追加すると、明太子ごはん、チャーシューごはん、とろろごはん、とり唐揚げごはん、うなぎごはんの中から1品選び、ミニサラダを付けることができる。
夜は、前菜やサラダ、一品料理のメニューも豊富にある。たとえば、レンコンのはさみ揚げ(8$)、豆乳のクリームコロッケ(12$)など。
ラーメンが1杯13$という値段に8.375%の税金と2割のチップを入れると、17$近くになってしまう。ラーメン1杯が最終的に1600~1700円という値段に関しては、日本人客からは高いという印象があるが、アメリカ人客は満足しているようだ。
アメリカ人も箸をうまくさばき、非常に上手にラーメンをすするが、だいたい日本人が7、8分でラーメンを食べるところを、アメリカ人はだいたい10分から15分ほどかけて食べる。
平田バンズと呼ばれる、中にポークまたはチキンの入った蒸し饅頭のようなメニュー(2個で8$)は好評で、日本に逆輸入の予定だ。
目下2号店をオープンするためのロケーションに目をつけ、場所が空くのを待っているという。日本の国民食は、スシのようにいつかアメリカに一般食として根付いていくのだろうか。
●事業データ
一風堂/所在地=65 Fourth Avenue New York NY 10003/開業日=2008年4月/営業時間=月~木 午前11時~午後3時半、5時~11時半、金土 午前11時~午後3時半、5時~翌午前0時半、日 午前11時~午後10時半/坪数=82平方フィート/1日来店客数=平日500~580人、週末650~730人
●人気メニュー・ベスト5
(1)「赤丸新味」(13$)
(2)「白丸元味」(13$)
(3)「鶏塩ラーメン」(13$)
(4)「とんこつ醤油」(13$)
(5)「味噌ラーメン」(13$)