メニュートレンド:「やかん」から「うどん」! 「博多あかちょこべ」
ドンと置かれたやかんからうどんが!うどん発祥の街博多で人気の「古式胚芽うどんと心地酔い処 博多あかちょこべ」では、釜あげうどんがやかんで提供される「釜あげ ずぼら」など数々のアイデアうどんで人気だ。街中に軒を連ねる伝統的な博多うどんとは一線を画す個性的なおいしさでアピールし、着実にお客の心をつかんでいる。同店をきっかけに、博多うどんも個性派の時代が幕を開けるかもしれない。
「いつも話題になりそうなアイデアを探しています」と同店オーナーの井上裕之さん。「東北ではストーブのやかんに直接うどんを入れて食べる」という逸話に触発されて、すぐにやかんを買いに行ったという。「ずぼら」の由来は、どんぶりに盛る手間をはしょったずぼらな食べ方から。あっという間に話題が広まり、地元マスコミだけでなく、はるか東北のテレビ局まで取材に来たほど。
「アイデアは誰でも思いつくもの。大事なのは、実際にやるかどうか。ずぼらだって、やかんを買ってくるだけ。たとえ失敗したところでたいした出費じゃない。」とチャレンジすることの大切さを井上さんは熱く語る。
現在の出数はランチタイム20食前後。一番の売れ筋は、新しいアイデアメニュー「釜あげキーマカレー(640円)」で、ランチ客の半数が注文するほど。他に「とろとろスペアリブ肉(780円)」も好評で、次なる新メニューも試作中だという。
麺にも同店ならではの創意工夫が。毎日手打ちしているうどんには、小麦色の胚芽の粒を混入している。「福岡は、鎌倉時代にうどんが最初に伝えられたうどん発祥の地。その当時の製粉技術を想像すると、きっと胚芽も混ざっていただろうと。そんなうどんの歴史に想いをはせてもらえたら」と井上さん。食感は「博多うどんは軟らかくてフワフワ。コシの強い讃岐うどんは見向きもされません。でも当店は博多うどんでありながらも、ツルツルっとのど越しのよさのあるうどんを目指した」と語る。
井上さんのアイデアは着実にお客の心を掴んでいる。博多うどんも個性派の時代になりつつあるのかもしれない。
◆店舗情報
「古式胚芽うどんと心地酔い処 博多あかちょこべ」/経営=(有)ファンキーカンパニー/所在地=福岡県福岡市博多区冷泉町7-10/開業=2009年4月/営業時間=午前11時半~午後3時、6時~深夜0時、日休/坪数・席数=17.5坪・34席/客数=80~100人/客単価=昼600円、夜3000円
◆愛用資材・食材:だし素材
福島鰹(株)(京都府京都市中京区堺町通御池上ル)
博多あかちょこべのうどんつゆのだしは、利尻昆布、鰹節、混合節、いりこの4種を使ってとっている。その味は「コクのある濃厚な味」で、伝統的な博多うどんとは一線を画す。しっかり味わって食べたくなる華やかな風味と味わい深さの秘密だ。福島鰹は1922年創業。京都の老舗だし専門メーカーとして、数多くの料亭、和食店に良質なだし素材を提供している。うどんつゆ以外の料理も、本商品からとっただしで調理される。