「主婦の店さいち」の惣菜弁当

2010.12.06 381号 18面

 “秋保のおはぎ”で有名な食品スーパー「主婦の店さいち」。おはぎばかり脚光を浴びているが、実は惣菜弁当の方がすごい。全国から見学者が絶えない「主婦の店さいち」の惣菜弁当を特別連載で紹介する。

 ◆店舗情報

 「主婦の店さいち」 所在地=仙台市太白区秋保町湯元薬師27

 販売坪約75坪。おはぎの日販は、盆と彼岸は約2万個。土・日は約1万個。平日は5,000個。惣菜弁当もそれに匹敵して大人気。

 ○旬よりも盛りだくさんに専念

 ◆オリジナル弁当 399g/400円

 内容:ウニご飯、タケノコ煮物、コロッケ、ゆで卵、昆布巻き、とびこ、桜漬け、キャベツ、キュウリ、パセリ、醤油。

 見どころ:弁当の中に四季が混在している。「春=タケノコ」「夏=桜漬け」「夏=ウニ、キュウリ」「秋=コロッケのジャガ芋、椎茸」「冬=昆布巻き」など。旬の食材を強調した商品を売り出す店が多い中、あえて旬にはこだわらず、おいしいものをたくさん入れることだけに専念している。硬ゆで卵ではなく半熟ゆで卵を入れているのも、おいしさを優先するがゆえのチャレンジといえるだろう。他人がやらないことをやる独創性と危険を顧みない勇気、「オリジナル」という言葉がピッタリの創作弁当だ。

 ○唐揚げと相性がいい大根のツマ

 ◆限定弁当 496g/450円

 内容:鶏唐揚げ、クリームコロッケ、煮物(ホタテ、ウズラ卵、白滝、昆布巻き、インゲン、タケノコ、大根、フキ)、ナス漬け物、ゴボウ、大根つま、キャベツ、キュウリ、梅干し、白飯、醤油。

 見どころ:写真では見えないが、コロッケの下にはレタスが敷いてある。これは普通。ところが唐揚げの下には大根のツマが敷いてある。これは結構めずらしい。この大根のツマは想像以上に唐揚げと相性がいい。唐揚げの醤油味が大根とよく合うのだ。また脂っこい唐揚げを消化するのに、ジアスターゼを多く含む大根はピッタリだ。胃にやさしくて、ヘルシー感たっぷりの大根のツマ。これからは刺し身だけでなく、唐揚げの付け合わせにも積極的に使いたいものだ。

 ○限定版に根拠がある本当の限定版

 ◆限定弁当 422g/450円

 内容:鶏唐揚げ、卵焼き、ナムル、昆布巻き、フキ、レタス、キュウリ、ナス漬け物、梅干し、白飯、醤油。

 見どころ:唐揚げは手作り、卵焼きも手作り、ナムルも昆布巻きもフキもきんぴらも手作り、もちろん白飯も手作りだ。業務用の加工食材は一切使わず、ひたすら手作りにこだわっている。だから無尽蔵には作れない。だからこそ「限定弁当」なのだ。お客をあおるために「限定」と銘打つ弁当は多いが、中身が工場で大量に作った製品ばかりでは、“限定”に信憑性が乏しいので、お客はすぐに買わない。だがこの弁当のように手作りの根拠がある“限定”なら、お客は売り切れる前にそそくさと買っていくのである。

 ○昭和のスパゲティの集大成

 ◆スパゲティ 276g/250円

 内容:豚ひき肉、椎茸、玉ネギ、キクラゲ、ニンジン、ピーマン、スパゲティ麺。

 見どころ:今でこそスパゲティの種類は多いが、バブル期のイタ飯ブームまで、日本でスパゲティといえばナポリタンかミートソースであった。この「スパゲティ」の麺はケチャップでしっかり味付けされたナポリタンである。ところがその上にはミートソースがかかっている。さらにその上にはナポリタンのシンボル野菜であるピーマンがのっている。これはまさに「昭和のスパゲティの集大成」だ。バブル期以前に青春時代を過ごした人にとっては、石原裕次郎と美空ひばりのデュエットのような、夢の組み合わせなのである。

 ○海苔弁とサケ弁のダイジェスト版

 ◆鮭ライス 225g/240円

 内容:サケ塩焼き、昆布佃煮、海苔、白飯。

 見どころ:近ごろは作り置きした数合わせのおかずをいっぱい入れた弁当が多い…とお嘆きの人、余計なものはいらない!おいしいサケと白いご飯が食べたいという人、そんな硬派の人にお薦めの「海苔弁」と「サケ弁」のスーパーダイジェスト版だ。実際問題ほとんどの家庭の冷蔵庫には、残り物がいっぱい入っている。それをこの弁当と一緒に食べれば立派な幕の内弁当になる。だからアリバイだけのおかずは必要ないのだ。

 ○飛び出す絵本のようなヘルシーな立体感

 ◆ヘルシー弁当 529g/500円

 内容:煮物(ホタテ、大根、椎茸)、ゼンマイ煮、卵焼き、ヒジキの煮物、プチトマト、キュウリ、桜漬け、青菜おにぎり、サケフレーク、ごま塩、白飯、醤油、洋がらし。

 見どころ:上蓋を取ると、白いフィルムカップに入ったおかずが飛び出す絵本のように飛び出てくる。カップに入っていないおにぎりや野菜もてんこ盛りだ。これほど立体感があってボリューム感のある弁当はめずらしい。そのくせ商品名は「ヘルシー弁当」という。「ヘルシー」というと、量が少なくカロリーが低いと勘違いしている人が多い。だがヘルシーとは本来、「健康的」という意味。バランスよくいろいろな食材をしっかりと食べることこそ真の「ヘルシー」なのだ。

 ○初出場校がPL学園を破ったくらいの快挙

 ◆鮭フレーク弁当 462g/298円

 内容:メンチカツ、ナメコのおひたし、サケフレーク、たくあん、ナス漬け物、白飯、ソース。

 見どころ:サケフレークというと、ふりかけ程度にしか思われていない、地味で脇役的な存在だ。だがこれだけ大量にかかっていると、サケの塩焼き一切れに匹敵するほどの食べ応えがある。この弁当はその存在感の高さが認められて、サケフレークが一躍主役に抜擢されたうれしい事例だ。メンチカツという大物おかずも入っているのに冠名を取ったのだから、まるで初出場校がPL学園を破って甲子園で優勝したくらいの価値がある。脇役でも頑張れば主役になれることを世に示したことは、他のふりかけや漬け物にとって大きな希望になるだろう。

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