外食史に残したいロングセラー探訪(48)カレーハウスCoCo壱番屋「ポークカレー」
創業から約27年で1000店舗に達し、現在も増え続け、さらに世界展開している「カレーハウスCoCo壱番屋」。家庭的な懐かしい味である基本の「ポークカレー」を、各種トッピングを加えたり、辛さや量を変えたりすることで、自分好みにできる。この仕組みそのものがロングセラーともいえるだろう。同店は、味とともに接客にも力をいれ、ファンの心をとらえ続けている。
◆壱番屋スピリッツでカレーを売る ポークカレーあってのトッピング
カレーハウスCoCo壱番屋の始まりは、創業者が夫婦ではじめた喫茶店。軽食として出していたカレーライスが好評で、それが評判となり、1978年1月名古屋市郊外西枇杷島町(現・清須市)にカレーライス専門店の「カレーハウスCoCo壱番屋」1号店をオープンし、今では全国にファンを持つ。
同店のリピーター率は、6割を誇る。常連さんそれぞれにマイメニューがあり、メニュー表を見ないで「ロースカツチーズ400・2辛」などと、オーダーする人も多い。
トッピングの種類は約35種。それに、3ヵ月の期間限定メニューが「月刊ココイチ」として毎月1品ずつ投入される。カレーの組み合わせは、トッピング、辛さ、量を変えていくと無限大という。
そのすべてのベースになるのがポークカレーなのである。
同社のカレーは、本場の味は追求していない。基本のポークカレー(430円/一部地域450円)の特徴は、「家庭的で懐かしい味のため、一週間に何度も食べたくなる味です」((株)壱番屋・商品企画部部長・中村義行氏)と語る。
全国のポークカレーは、栃木県と佐賀県にある2つの工場で作る。「栃木工場は、カレーソースの生産量で世界1位」(同氏)。カレーソースは、冷凍されて各店舗へ運ばれる。冷凍された状態で1週間ほど寝かせ、その後各店舗で火入れされる。「科学的な根拠はわかりませんが、1度冷凍させるとおいしくなるというのは、経験と勘ですね」(同氏)。
「当社はカレーライスだけを売っているのではありません。サービスを売っているのです」(同氏)。店舗近隣にある低価格帯の外食チェーンにカレーメニューが導入されても、同社の売上げはほとんど落ちなかった。それだけ、価格に左右されない、顧客の心をつかんでいるといえる。同社の社是は、有名な「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」。いつもニコニコ笑顔で、キビキビ働き、ハキハキ答えるという意味で、この姿勢で成長を続けてきた。
同社は海外にも進出。日本とレシピは変えておらず、ほとんど同じメニュー。特に韓国では人気で、行列が絶えない。“日式(にっしき)カレー”として、好まれている。2011年1月には、ロサンゼルスにアメリカ本土1号店が開店。カレーの本場であるインドへの進出にも意欲を見せている。
名古屋市郊外からスタートした週に何度も食べても飽きない家庭的なカレーが、気持ちのよいサービスとともに世界中で食べられる日は遠くない。
●店舗データ
「カレーハウスCoCo壱番屋」/経営=(株)壱番屋/本社所在地=愛知県一宮市三ツ井6丁目12番23号/店舗数=国内1192店、海外46店、合計1238店(2010年11月末時点)/1号店=1978年1月/平均客単価=830円
●トッピングランキング
1位 チーズ
2位 ロースカツ
3位 やさい
4位 ほうれん草
5位 チキンカツ
(2010年11月データ)