アポなし!新業態チェック(49)デイルズフォード・オーガニック青山店
◆英国のオーガニック専門店高級食材にカフェ・レストラン
日本でも「食の安全・安心」に対する関心が一段と高まりを見せる中、昨年の11月、東京・青山に本格的なオーガニックの専門店「デイルズフォード・オーガニック」がオープンした。
1970年代に英国のコッツウォルズ地方でバンフォード卿夫妻が始めたオーガニック農場からスタートし、現在は英国だけではなくドイツ、韓国などに7店舗を展開しているオーガニック食品の専門店。日本初出店となるこの店は、食品商社の大手である片岡物産が英国本社とフランチャイズ契約を結んで日本法人「デイルズフォード・オーガニック・ジャパン」を設立し出店した。
英本国の「デイルズフォード・オーガニック」は、ヨーロッパで最も厳しく権威あるオーガニック認定組織といわれる「ソイル・アソシエーション(英国土壌協会)」の認定を受けた製品を中心に扱っている。また、2年連続でのミシュラン獲得を含め、2007~2009年の3年間に食に関する賞を30件以上も受賞するなど、欧州のオーガニックシーンの中心的な存在といわれる名店だ。
今回の青山店も、そうした本国のスタイルを踏襲して、「リアル・フード(本物の食材)」を提供するオーガニック専門店をコンセプトとしている。2層の店内はグロサリー、ベーカリー、デリカテッセンといった売り場に加えてカフェと本格的なレストランを併設。単に「安心・安全」な食材を販売する店舗というだけではなく、「オーガニックのおいしさ」を伝え、「オーガニックというライフスタイル」を普及・定着させるビジネスの旗艦店として位置付けられている。
★けんじの評価
おしゃれな青山の一角、青山学院大学の向かいに位置する店は、白を基調とした清潔感があふれる。店内には、シンプルな瓶詰めの珍しい食材が並べられ、派手なサインも目立つロゴマークもない店頭のテラス席には、ラベンダーのプランターが置かれている。すべてがナチュラルな美しさを意識して演出された店舗は、周辺を行き交う女性客の多くが、思わず足を止めてのぞき込むだけの魅力に満ちている。
しかし売り場の商品をよく見てみると、その価格帯にびっくり。グロサリーの中でも種類の多いコンフィチュール(ジャム類)やドレッシングは、その多くが1瓶1000円以上。目玉商品の一つでもあるマヌカハニー(ニュージーランド産の高級はちみつ)に至っては、何と1瓶5000円以上もするのだ。
こうした食材を日常的に使用できる人は、今の日本ではそう多くないだろう。高価な販売商品に比べれば、ドリンクが450円からというカフェや1800円のランチプレートが楽しめるレストランの価格帯の方が、まだリーズナブルだと言えるかも知れない。1階が売り場とカフェ、2階がレストランというレイアウトは、店舗面積に比べて必要な人員の数も多くなる。おそらく、この店は主に飲食部分の売上げによって成立するという収益構造なのではないだろうか。そう考えると、実際にはそれほど売れなかったとしても、話題性のある高級な商品にはそれなりの意味があるのだと考えることはできるだろう。
英本国の店は週末になると行列ができるほどの人気だというが、果たして日本ではどうなるだろうか。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
●店舗概要
開業=2010年11月11日/所在地=東京都渋谷区神宮前5-51-8、ラ・ポルト青山1F・2F/席数=70席(レストランとカフェ)
●鷲見けんじ
外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。













